<映画評>スタローンとデ・ニーロがボクシングでガチンコ勝負?『リベンジ・マッチ』
シルベスター・スタローンとロバート・デ・ニーロがボクシングでガチンコ勝負ーーー。 4月4日から日本公開される映画『リベンジ・マッチ』では、ともに『ロッキー』、『レイジング・ブル』というボクシング映画の名作を持つ2人が、初の共演を果たす。67歳のスタローンと70歳のデ・ニーロのベテラン名優が体を張った演技と死闘を見せる。映画ファンにとってはまさに「夢の競演」だ。
2人が演じるのは1980年代に一世を風靡した伝説のボクサー。現役時代のタイトルマッチは1勝1敗の五分で「決着」はつかないままになっていた。性格も対照的な2人は、引退後も対照的な人生を送っていたが、ひょんなことから30年ぶりにリングで戦う機会が舞い込んできた。「終わった人」扱いの、世間の冷めた目線をよそに、2人のトレーニングは次第に熱を帯びていく。そして、「リベンジ・マッチ」はまさかの満員大観衆の下、ゴングが鳴ったーーー。 基本はコメディ映画だ。物語は、スマホ動画など今時なアイテムも取り入れつつテンポ良く進む。過去の彼らの作品へのオマージュシーンもふんだんにあり、それを見つけながら観るのも楽しい。しかし、2人の遺恨の原因となった女性を演じるキム・ベイシンガーが登場し、彼女らを含めた人間模様が繰り広げられると、ぐんぐんとストーリーに引き込まれていった。そして最後は少し泣けるラストになっている。
出演にあたって、2人は減量に取り組んだという。デ・ニーロといえば、体型変化も含めた変幻自在な役作りが持ち味だが、今回も数か月がかりで15キロ以上のダイエットに成功。映画の中でも体が徐々に引き締まっていくのが分かる。最後のボクシングシーンで2人は、もちろん全盛期のような若い肉体による激しい打ち合いは望むべくもないが、それでも70歳あたりの年齢とは思えない迫力ある死闘を繰り広げる。 期待の一方で少し不安もあった。それは当の本人たちにもあったようで、スタローンは率直に語っている。「この映画を受けるのに不安もあった。『ロッキー』のパロディっぽくなる可能性もあった。でもボビー(ロバート・デ・ニーロ)から電話がきたんだよ。“僕らが共演するなんて、二度とない一大イベントだよ”って。それで出演を決めたんだ」。果たして、スタローンの決断が正しかったことをこの最後の激闘シーンが示している。 スタローンの変わらないストイックさ、デ・ニーロの衰えない色気を堪能できる本作品。最後の最後には驚くべき人たちも登場する。エンドロールが完全に終わるまで席を立たない方が賢明だ。