医療費負担を減らす「高額療養費制度」とは何ですか?実は注意点も
高額療養費制度を利用できる人
さらに具体的に、どんな人が高額療養費制度を利用できるのか、確認していきます。 年収が約370万円~770万円の場合、1ヶ月の窓口で支払った医療費の自己負担分が約8万円以上の人は、高額療養費制度の利用対象の目安となります。 年収が約770万円~1160万円の場合は、自己負担分が約16万7000円以上、年収が1160万円以上の場合、1ヶ月の自己負担分約25万2000円以上が、高額療養費制度の利用対象の目安です。 <高額療養費利用の目安> ・年収約370万円~770万円 :1か月の医療費の自己負担分 約8万円以上 ・年収約770万円~1160万円:1か月の医療費の自己負担分 約16万7000円以上 ・年収が1160万円以上 :1か月の医療費の自己負担分 約25万2000円以上 また、高額療養費制度は、複数の病院で支払った医療費を合算して計算することができます。 例えば、歯医者と内科など別々の病院に支払った医療費の1ヶ月の合計金額が、上記の目安を超えた場合、利用できます。 さらに家族それぞれが医療費を支払って、その合計金額が高額な場合も、制度を活用することが可能です。 ※69歳以下の場合は2万1000円以上であることが必要です。 そして、過去12ヶ月以内に3回以上高額な医療費を支払った場合は、4回目から上限額が変わり、さらに負担が軽減される仕組みとなっています。 詳しくは、厚生労働省のホームページをチェックしてみましょう。 治療が長期間に及ぶ場合などに活用できますね。
高額療養費制度利用時の注意点
高額療養費制度を利用する場合、確認しておきたい注意点があります。 ここでは4点チェックしておきましょう。 ●制度の対象となる費用 入院時にかかった食費や、患者の希望によってサービスを受ける差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは、高額療養費の支給の対象ではありません。 高額療養費が使えるはずと勘違いし、個室を希望をすると、退院時に支払う金額が大幅に増えてしまうので要注意です。 ●最低自己負担額 69歳以下の場合、自らの自己負担額を合算するためには、医療機関から医療保険へ提出する診療報酬の請求書1枚あたりの1ヶ月の自己負担額が2万1000円以上である必要があります。 1万円の請求書が10枚ある場合など、最低自己負担額である2万1000円を超えない場合は、高額療養費制度が利用できないので、覚えておきましょう。 ●時効 高額療養費制度には、時効があります。 高額療養費の支給を受ける権利は、診療を受けた月の翌月の初日から2年です。 2年以内であれば、過去にさかのぼって支給申請することができますが、時効を過ぎてしまうと、お金は支払われないので注意しましょう。 ●手続き方法と支給までにかかる時間 高額療養費制度を利用する場合、医療費の自己負担分を窓口に支払った後、後日お金の支給を受ける後払い方式の他に、事前に自己負担の限度額を計算し、「限度額適用認定証」や「限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付を受けておくという方法もあります。 限度額適用認定証等があれば、窓口での自己負担額をその場で減らすことが可能です。 どちらの方法も、手続きには時間がかかります。 例えば、後払い方式は、支給までに、受診した月から少なくとも3か月程度かかります。 医療費の支払いの際に慌てることがないように、事前に準備しておきましょう。