シンパパ住職「お寺はブラック企業と言われ…」離婚でたどり着いた「諸行無常」の生き方
お寺は「檀家さんみんなの家」。夜中の電話、早朝の訪問は当たり前。調理の匂いにすら気を使うプライベートのない暮らしのため、妻に去られたシンパパ住職・池口龍法さん(44)。アイドル育成から本堂でのDJイベントまで企画する型破り住職の“シンパパ生活”を聞いた! 【写真】“お寺×DJイベント”、異色のコラボで新しいお坊さんのカタチを提言 お坊さんだって失敗もすれば離婚もする。当たり前だが、法事や葬儀ぐらいでしか接点がない身からすれば、やはりお坊さんは聖職者。 しかし池口龍法(いけぐち りゅうほう)さんは、なんとバツイチのお坊さんだ。7年前に離婚、2人の子どもを育ててきたシングルファーザーでもある。
お坊さんが離婚するのは一般の人に比べて難しい?
「実際の統計があるわけではないのではっきり言えないですけど、離婚したことを隠している人はいます。恥ずかしいことだという認識がやっぱり強い。 今の日本では離婚が当たり前ですし、選択肢のひとつになっていますけど、お坊さんの場合には、まだやましいことのように感じている。離婚したほうがいいよねって思う場合でも我慢しながら生活している人もいます」 1616年に開かれた歴史ある龍岸寺の24世住職、池口龍法さん(44)は28歳のとき、7歳年上の薬剤師の女性と結婚した。 妻は感性の赴くままに行動する自由な女性。外国車を乗り回す彼女に、池口さんの両親は「ああいうタイプは寺の奥さんには向かない」と反対したが、押し切った。 「自由に生きる彼女と接して、自分も自由に生きたいと思いましたし、結婚を決めたことで、両親に代表されるお寺の旧習に挑んでいるような気持ちもありました」 結婚して1年後、住職として多忙な日々を過ごす池口さんは、新しいお坊さんのスタイルを提言するフリーマガジンの発行人としての活動を開始しようとしていた。そんなころ、妻が第1子の長女を妊娠。 最初は池口さんの活動に理解を示していた彼女だったが……。 「出産を機に妻は専業主婦になったのですが、僕は週5日、お寺で奉職して、休みの日も取材や編集で家を空けがち。家事も育児も妻に任せきりでした。『お寺が大事?家庭が壊れてもいいの?』と迫られたこともありました。今思えば妻も限界だったのだろうな……と。ついには妻の愚痴を聞くのもつらくなって」