新法適用で摘発増加も…「氷山の一角」の盗撮被害 スマホ、小型カメラ普及で巧妙化
一方で、「事件化された盗撮は氷山の一角だ」と指摘するのは、一般社団法人全国盗撮犯罪防止ネットワークの平松直哉代表理事だ。同性による犯行や、学校や職場が現場となる例もあり、「被害に気づかない被害者も多い」という。
被害増加の背景として平松氏が挙げるのが、スマホカメラの性能向上や小型カメラの流通だ。一見するとカメラとは分からない商品や、外装がないカメラのみの商品もあり、ネット上で数千円程度で購入可能。日常生活で使うさまざまな物に仕込めるほど、小さいものが出回っている。
盗撮された動画や画像を、交流サイト(SNS)などで販売・公開する行為も横行している。
《スカートの中撮りました》といった投稿に加え、盗撮を意味する「鳥」、高校生の「k」などの隠語も横行。1枚数百円程度で販売したり、新たな画像や動画の撮影を要求したりするアカウントも目立つ。
盗撮方法を伝授するようなホームページが存在し、コミュニティーが形成されて画像の交換や、カメラの取り付け方などの「技術指導」も行われている。
平松氏は「ネットに公開されれば、回収はほぼ不可能。被害は深刻化している」と指摘。「処罰法の施行で厳罰化され、摘発もしやすくなったが抑止力にはなっていない。常習者に対する治療やGPS(衛星利用測位システム)装着など、再犯を防ぐ仕組みが必要だ」と強調している。(梶原龍)