霧島が物言いの一番で1敗死守 全勝の大の里をただ一人1差で追走「次につながる相撲だった」/秋場所
大相撲秋場所7日目(14日、両国国技館)元大関の関脇霧島(28)が琴勝峰(25)を寄り倒して6勝目。成績次第で大関昇進の可能性が浮上する関脇大の里(24)は小結平戸海(24)を寄り切り、7連勝で単独首位を守った。大関琴桜(26)は若元春(30)に寄り切られ、2敗に後退。勝ちっ放しの大の里を霧島がただ一人1差で追う展開となった。琴桜や若元春ら10人が2敗で続く。 興趣を薄くさせない。させてはならない。霧島が物言いがつく相撲を勝ち切って、1敗を死守した。 「きれいにやられたと思った」。左下手は深く、右上手も引きつけた。万全の体勢で寄った土俵際。琴勝峰が下がりながら右を巻き替え。うっちゃりながら右から捨て身のすくい投げ。重ね餅になって、霧島の体も飛んだ。 結局、行司軍配通り、寄り倒して6勝目。琴桜が2敗に後退し、全勝の大の里をただ1人、1差で追いかける。「最後まであきらめず、次につながる相撲だったかな」。 3月の春場所で5勝10敗。2度目のかど番だった5月の夏場所は首痛に苦しんで1勝6敗8休に終わり、2場所連続で負け越して大関在位6場所で陥落した。現行のかど番制度では7月の名古屋場所で10勝以上すれば大関へ復帰できたが、8勝どまり。今場所は大関返り咲きを目指し、出直しとなる。霧島は1差の追走に、分不相応を意味する「(自分は)顔じゃない。まだ早い」と取り合わなかった。 霧島は現役関取では珍しくなった「中剃り(なかぞり)」をしている。霧島のように毛量の多い関取は大銀杏(おおいちょう)が結いにくく、まげが太くなって崩れやすい。そのため、頭頂部を円形に剃ることをいう。 通常直径6、7センチほどを剃るが、同じ音羽山部屋に所属する一等床山の床大(とこだい、54)によれば、霧島はその2倍程度を剃り、本場所初日直前にバリカンで行うという。「(霧島は)毛量だけでなく髪が太くて、かたい。今場所もつやがあって髪の毛も元気がいい」。床山の感触が頼もしく聞こえる。(奥村展也)