タイの電力大手ガルフが通信大手と合併、時価総額4.4兆円の巨大企業誕生へ
タイのエネルギー業界のビリオネア、サラット・ラタナワディの保有資産は、電力会社のガルフ・エナジー・デベロップメントの株価の上昇により、ここ約2カ月の間に60億ドル(約8890億円)増加した。 ガルフ・エナジーの株価は、7月中旬に同社が通信事業持ち株会社のインタッチ・ホールディングスとの合併計画を発表して以降に40%急騰した。インタッチは、タイで売上高が2位の携帯キャリアのAIS(アドバンスト・インフォ・サービス)を傘下に持つ。インタッチの株価も同期間に28%、AISの株価も約21%上昇した。 サラットの資産の大半は、ガルフ・エナジーの株式からもたらされている。彼の保有資産は、フォーブスアジアが7月にタイの長者番付を発表した時点で92億ドル(約1兆3645億円)だったが、ガルフ・エナジーの株価の上昇を受けて150億ドル(約2兆2000億円)以上に増加した。 ガルフ・エナジーとインタッチの株主は、両社の合併案を承認し、時価総額が約300億ドル(約4兆4000億円)の巨大企業の創出への道が開かれた。 ガルフ・エナジーは、この合併により持株構造が簡素化され、効率性が向上し、ビジネスの柔軟性が高まると述べている。また、エネルギーやインフラ、デジタル事業間でバランスの取れた事業ポートフォリオが形成されると説明した。この合併は、2025年第2四半期に完了する見込みとされている。 2007年にサラットが設立したガルフ・エナジーは、通信やデジタル分野に多角化を進めている。データセンター事業も手掛けている同社は、今年6月にアルファベット傘下のグーグルとの提携で、タイで人工知能(AI)対応のクラウド施設を建設する計画を発表した。 ガルフ・エナジーはまた、ビリオネアのチャンポン・ジャオが設立したバイナンスと「ガルフ・バイナンス」と呼ばれる合弁会社を立ち上げて、タイで暗号資産取引所を開設している。
Phisanu Phromchanya