年金の「差し押さえ」って本当にあるんですか? 正直「どうせもらえない」と思いますし、貯金もなにもないのですが…
年金の受給年齢の引き上げや、年々上昇する社会保険料などによって、「どうせ年金はもらえないから保険料は払わなくても良いのでは?」と考える人もいるのではないでしょうか。 しかし、国民年金保険料の納付は国民の義務であり、納付を拒否していれば督促や強制徴収といった対処を取られる場合もあります。 ▼年金機構から「差し押さえ」の手紙が届いた! 口座残高「ゼロ円」で差し押さえる財産がなければ大丈夫? 本記事では、国民年金保険料未納者に取られる対処と、年金保険料の納付が厳しい人に向けての解決策を紹介します。
差押えは実際に行われている
「差押えはおどしなのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、未納者への強制徴収は実施されており、具体的な件数は図表1のとおりです。
<図表1> 厚生労働省 令和4年度の国民年金の加入・保険料納付状況を公表します 国民年金保険料収納対策のスキーム(概念図)より筆者作成 コロナウイルス感染症の収束が見え始めた令和4年度に一気に動き出した印象です。では、財産の差押えではどのような処置が取られるのでしょうか。
差押えに当たって調査される項目
財産の差押えでは、保険料の支払いが終わるまで口座凍結の処置がとられます。差し押さえられた現金などはそのまま未納分へ充当され、動産や不動産は換価処分のうえ、滞納分に充てられます。差押えに当たって事前に調査される項目は次のとおりです。 ・勤務先 ・取引先の状況 ・収入元の状況 ・家族構成 ・戸籍や住民票の推移の状況 ・給料の金額 ・所有している動産・不動産・債権、銀行口座およびその取引の内容 ・生命保険の契約状況 など 財産調査は国税徴収法第141条に基づいて行われるため、個人情報保護法は関係ありません。未納者は拒否する権利をはく奪されます。給与の差押えの場合、上限は手取り額の4分の1です。手取り額が月44万円を超えるケースでは、上限33万円に固定されます。 つまり、財産差押えは国家権力によって行われるため、支払い能力がある人は年金の取り立てからは逃げられないと考えたほうが良いでしょう。