いつの間にこんなに大きく? 新井美羽、寺田心、毎田暖乃ら“子役俳優”たちのいま
“子役出身”という俳優のくくり方はとても便利なのでよく使われるものであるが、子役時代に主演作があったり、なんらかの作品で存在感を示していたのか、はたまた端役やCMを中心に活動していただけなのかなど、活躍の幅はそれぞれに異なっているので、案外ひとくくりにするのは難しいところだ。子役時代から第一線で活躍するにしても、成人になってから注目を浴びるにしても、どちらにしても大成するのはほんのひと握りである。 【写真】『相棒』にも成長した姿で出演していた寺田心
“親心”のようなものが国民的俳優を作り上げていく
ちょうどこの7月期のドラマのメインキャスト陣を見渡してみると、『虎に翼』(NHK総合)の伊藤沙莉を筆頭に、『新宿野戦病院』(フジテレビ系)の濱田岳や『あの子の子ども』(カンテレ・フジテレビ系)の桜田ひよりや前田旺志郎、『降り積もれ孤独な死よ』(読売テレビ・日本テレビ系)の吉川愛と、子役時代からそれなりの知名度を得ていた顔ぶれが目立っている。一方で『マル秘の密子さん』(日本テレビ系)の福原遥のように幼少期に確たる代表作を得ていたり、『GO HOME ~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)の大島優子のように子役から一度別路線に進んで大成したパターンもあるが、この両者のようなケースはなかなか稀であろう。 そういえば金曜ドラマ『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)では、主演の山田涼介(山田も小学生の頃から活動しているが、アイドルとしての活動がメインである以上、子役とはまた違うポジションと判断しておこう)と『探偵学園Q』(日本テレビ系)で共演していた志田未来と神木隆之介が揃い、SNSが盛り上がりっていた。志田も神木も20年弱前に子役だった世代のトップランナー。その頃からコンスタントに出演作が絶えず、自ずと視聴者側は演技者としての成長と同時に、一人の人間としての身体的成長も作品を通して見守ることとなったわけで、ある種の“親心”のようなものが国民的俳優を作り上げていくものだとわかる。 言わずもがな、志田と神木よりも一世代後にこのポジションに立ったのが芦田愛菜と鈴木福であり、近年の2人の成長ぶりは幼い頃を知っているからこそ感慨深い。この2人が切り拓いたといってもいい2010年代の子役ブームのなかで活躍した代表格としては、2008年生まれの寺田心がいる。『妖怪大戦争 ガーディアンズ』の劇中ではまだ子役時代の印象のままであった寺田は、同作のプロモーションのあたりから徐々に成長が窺え、昨年公開された『屋根裏のラジャー』では変声期ぎりぎりに声を収録し、公開時の舞台挨拶ではすっかり大人びた青年へと変化していた。 このように子どもから大人へと移り変わろうとする青年期は瞬く間に過ぎていくものであり、それはその時代を経験したことのある誰もが身をもって実感していることでもあろう。そうした期間に出演する作品というのはある意味、その一瞬でしか観ることのできない――すなわち子役時代よりも短いスパンで、場合によってはその作品でしか観ることのできない彼らの姿を記録するものとなる。映画、ドラマ問わず映像作品が持つ“記録性”に対して最も正直で価値のある存在といえるのかもしれない。 つい6年前に公開された是枝裕和監督の『万引き家族』であどけない笑顔が印象的だった城桧吏は2006年生まれ。同作の後『約束のネバーランド』、『都会のトム&ソーヤ』、『GHOSTBOOK おばけずかん』と少年期の成長をスクリーンのなかにまざまざと刻みつけ、今年1月期に放送された『おっさんのパンツがなんだっていじゃないか!』(東海テレビ・フジテレビ系)では原田泰造演じる主人公の息子で引きこもりがちな高校生という難役に挑戦。画面越しに目に見える劇的な身体的成長の段階を抜けて、持ち前のポテンシャルの高さを最大限に生かす演技者としての表現的成長の段階へと進み出している。