自作ほうき役立てて 長年ホウキギ栽培の北村さん(富山県高岡市)、京都や県内の寺社に寄進
富山県高岡市江尻の北村善朗さん(83)は、長年にわたりホウキギ(コキア)を栽培し、ほうきを作っている。清掃に役立ててほしいと毎年、京都の寺院に納めており、県内の寺社にも寄進してきた。「喜んでもらえる人に届け、世のために尽くしたい」と話す。 北村さんは農協で定年まで勤務。20年余り前、立ち止まって自分を見つめ直そうと、ほうき作りを思い立った。食用の実を育てていた祖父からホウキギの種を受け継いでいた。 ホウキギは毎年3月に種を植え、10月に刈り取る。支柱を立てて雨風で倒れないようにし、高さ2メートル以上に育つという。水に漬けてあくを抜き、2本束ねてほうきを作っている。 ほうきは毎年、京都の東本願寺と西本願寺、世話になっている宿、数珠店の4カ所に贈ってきた。コロナ禍の年を除き、列車で京都まで運び、昨年で20回目を届けることができた。参道の清掃に加え、すり減って小さくなっても側溝の掃除に役立てられている。
これまで県内30カ所以上の寺院や神社にも納めており、昨年は高岡市立博物館にも寄付した。ホウキギは毎年50本ほど栽培していたが、南砺市で後継者が見つかったことから、昨年は10本に縮小し手ほどきに注力した。 北村さんは「家族の協力で寄付を続けられた。これからもできるように努力するのが自分の役目」と話している。