厚生年金を「月額20万円以上」もらえる人は多数派か?年金に期待していない高齢者は約8割
厚生年金を月額20万円以上もらえる人の割合は?
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金を月額20万円受給できる人の割合は約14.8%でした(年金月額が20万円以上の人数を合算し、総数で除して算出)。 ●【厚生年金】月額20万円以上受給する受給者数(1万円刻み) ・20万円以上~21万円未満:75万9086人 ・21万円以上~22万円未満:56万9206人 ・22万円以上~23万円未満:38万3582人 ・23万円以上~24万円未満:25万3529人 ・24万円以上~25万円未満:16万6281人 ・25万円以上~26万円未満:10万2291人 ・26万円以上~27万円未満:5万9766人 ・27万円以上~28万円未満:3万3463人 ・28万円以上~29万円未満:1万5793人 ・29万円以上~30万円未満:7351人 ・30万円以上~:1万2490人 ※国民年金部分を含む ●【厚生年金】全体・男女別の平均年金月額 〈全体〉平均年金月額:14万3973円 〈男性〉平均年金月額:16万3875円 〈女性〉平均年金月額:10万4878円 受け取れる厚生年金額は、加入している期間の平均標準報酬額と加入月数で決まります。 現役時代の収入が多い方ほど納付する保険料が増えますが、受け取れる年金額も増える仕組みです。 統計データを見ると、多くの方は受け取っている厚生年金額が20万円未満。 「毎月20万円以上のお金が必要」と考えている方は、プラスアルファとして自力で資産形成を行う必要があります。 次の章では、公的年金だけで生活できるか不安という方に検討してもらいたい手段を解説していきます。
豊かな老後生活を送るために有効活用すべき制度
公的年金だけで生活できるか不安という方は、自助努力で資産形成を行う必要があります。 以下で、有効活用すべき制度を解説するので、参考にしてみてください。 ●iDeCo(個人型確定拠出年金) iDeCoは加入者が現役の頃に掛金を拠出し、運用しながら老後資金を用意する制度です。 「年金」という名称があるように、私的年金の一つなので原則として60歳まで引き出せません。老後資金を用意するのに特化している制度といえるでしょう。 iDeCoのメリットは税制優遇がある点です。運用益は非課税で、拠出した掛金は全額所得控除の対象となります。節税しながら将来に向けた資産形成を行えます。 60歳以降になり給付金を受け取る際にも、年金として受け取る場合は公的年金控除、一時金として受け取る場合は退職所得控除を受けられます。 受取時にある程度課税される可能性はありますが、計画的にコツコツと資産形成するうえで有用な制度です。 ●NISA NISAとは、一定額まで非課税で投資できる制度です。2024年から新NISAが始まり、年間で360万円まで非課税投資を行える枠組みとなりました。 制度全体では1800万円まで非課税投資を行えます。iDeCoの最低拠出金額は月5000円ですが、NISAの場合は金融機関によっては100円から行えます。 税制優遇だけでなく、少額から始めやすい点もNISAのメリットです。 ●年金の繰り下げ受給 iDeCoとNISAで資産形成を行うことは大切ですが、終身にわたって受け取れる公的年金額を増やすことも検討しましょう。 繰り下げ受給を行えば、65歳時点で受け取れる年金額に対して1ヶ月あたり0.7%増額された年金を一生涯受け取れます。 つまり、70歳で受給開始すれば42%増額された年金を受け取れます。 現行制度では75歳まで繰り下げ受給できるため、最大で84%増額した年金を受け取ることが可能です。 ただし、繰り下げ期間中は年金を受け取れません。働いて勤労収入を得たり、iDeCoやNISAで運用した資産を受け取ったりする方法で生活を支える必要があります。