鳥インフルで石破首相「初動対応が重要」 衆院選の最中、危機管理の試金石に
政府は17日、北海道厚真町の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが発生したことを受け、首相官邸で関係閣僚会議を開いた。林芳正官房長官は感染拡大防止に向けて、自治体に養鶏農家の衛生管理など発生予防措置を講じるよう求めたほか、関係省庁の緊密な連携を呼びかけた。衆院選（27日投開票）を控える中、発足から間もない石破茂政権の危機管理能力をはかる試金石となりそうだ。 【写真】北海道厚真町の養鶏場で殺処分作業を進める関係者 「鳥インフルの蔓延（まんえん）防止には初動対応が重要だ。政府一体となって迅速に対応する」 石破首相は17日、官邸で記者団にこう述べ、感染拡大防止に全力を尽くす考えを強調した。これに先立つ16日深夜には、鳥インフルの発生現場の情報収集や国民に対して正確な情報を迅速に伝えるよう関係省庁に指示した。 さらに、17日の関係閣僚会議では林氏が、厚真町のケースがこれまでで最も早い時期の発生確認となったことを踏まえ、「今後、全国のどこで発生してもおかしくない状況だ。政府一丸となって感染拡大防止のために緊張感を持って万全の対応をお願いしたい」と要請した。 今回の鳥インフルは石破政権発足後、初めての本格的な危機対応となる。地元で選挙戦に臨んでいた政権幹部の一人は、関係閣僚会議への出席のため、東京に引き返した。この幹部は「鳥インフルは初動を間違えると大変なことになる。一番大事なのは感染を広げないことだ」と話す。 危機対応をきっかけに、政権が失速した前例は枚挙にいとまがない。安倍晋三、菅義偉両政権は新型コロナウイルス対応で批判を浴び、内閣支持率の低下につながった。今後、鳥インフルの感染が拡大すれば養鶏農家に甚大な被害を与えかねない。 首相はとりわけ農林水産業の振興に重きを置く。15日に福島県いわき市で行った衆院選の第一声でも「農林水産業を軸とした新しい地方創生を目指す」と訴えた。激しい選挙戦が続く中、政権の手堅い危機管理能力を示せるかが焦点となる。（永原慎吾、飛松馨）
