【古着でワクチン支援】世界をめぐり、知ることの大切さを実感|イモトアヤコのサステナブック
私なりのサステナビリティ
――そのほかに、普段の生活のなかで意識していることはありますか? 食品ロスを減らしたいので、外食する際には保存容器を持ち歩いています。意外に思われるかもしれませんが、実は少食で食べきれないことがあるんです。お店によっては持ち帰り用の容器を用意してくれているところもありますが、後々ゴミになってしまうことを考えて、あらかじめ自分で保存容器を準備するようになりました。家では旦那がよく食べてくれるので、家庭内での食品ロスはほとんどないですね。 あとは、よく山登りのロケに行くのですが、山男たちは自然にサステナブルな行動をしています。食器を洗うお水がないので、スープは一滴残らず飲み干して、お皿もスプーンもキレイになめるんです。それで、食べ終わった後にはもう何もない状態っていう感じで。これは極端な例ですが、それくらい食べ物や水を無駄にしない“山男イズム”は見習いたいです。 ――こんなサービスや仕組みがあったらいいなと思うものはありますか? 害獣を捕獲する猟師さんたちに、適切にお金が回る仕組みができたらいいなと思います。イノシシなどの害獣の捕獲に同行させてもらった時の話です。害獣を捕獲するのには労力が必要で危険が伴いました。でも、命懸けで捕獲しても猟師さんへの謝礼は1,000円程度……。ほぼボランティアみたいなものですよね。 人間と動物が共存できるのが最良。でも、今後害獣が土地を荒らすことは増えるでしょうから、私たちの生活を守るためにも、猟師さんたちの収入を安定させる仕組みがあったらいいなと思います。 ――さまざまな国を訪れるなかで、サステナビリティに対して感じたエピソードがあればお聞かせください。 貧しい国を訪問することもあるのですが、その日の食べ物すら「どうしよう?」と考えている人たちは、環境問題について考えられる状況にはありません。 例えば、大量に消費されるペットボトルがよくないとわかっていても、現地の子どもたちはそのペットボトルを欲しがるんです。ミネラルウォーターを飲んでいると何十人もの子どもたちが群がってきます。 このようにサステナビリティを考えることが難しい世界がある一方で、環境問題に向き合っている人もいます。先日訪れたコンゴ民主共和国では、ゴミを纏って街を歩くアーティストや、廃材から楽器を作ってバンドを組んでいる人がいました。厳しい環境のなかでもそういった行動をとることができる人は尊敬しますね。 ――SDGsのなかで、特に気になる項目はありますか? 教育です。以前、カンボジアで水上生活をしている人たちを取材しました。 事前情報を入れずに現地へ行き、14歳くらいの少女に悪気もなく「水上生活で楽しいことは?」と聞いたんです。そうしたら「楽しいことなんて一つもない。私たちはここに住みたくて住んでいるわけではない」と言われてしまって……。 後からわかったのですが、そこに住んでいるのは土地がなく国籍を与えられていない人たちなんですよね。だから学校にも行けない。それなのに「楽しいことは?」なんて聞いてしまって、無知だった自分が恥ずかしいなと思いました。 世の中には知らない方がよいこともたくさんありますが、こうした社会問題について、まずは当事者でない私たちが知っていくことが大事だなと思います。そういう意味でも、まずは教育が必要だと感じます。 ――今後、私たちはサステナビリティとどのように向き合うべきだと思いますか? 「SDGsを考えるのってカッコイイよね、おしゃれだよね!」くらいのマインドでも構わないと思うんです。例えば、マイボトルを持つことがおしゃれという感覚にもなりつつあると思うのですが、きっかけはそれでも全然よいのではないのでしょうか。 難しいこととして無理して向き合おうとするのではなく、カッコイイ・おしゃれという理由から、興味を持って考えていくことも素敵だと思います。結果として良いことをしているということには何も変わりがないですからね。