じゃがいもは夏場の夜間に気温が下がらないと品質に黄信号 地球温暖化には品種改良で対応 カルビー江原社長が見解
カルビーの江原信社長兼CEOは11月22日、取材に応じ北海道産じゃがいも(馬鈴薯)について「昨年は豊作だったものの猛暑の影響で品質面に若干問題があり、思ったように商品の生産量が増やせなかったが、今年は量・質とも申し分ない」と語る。 昨年と今年で品質を左右したのは、夏場の夜間の気温。北海道は通常、夏場、夜になると気温が20℃以下に下がるが、昨年は下がらない日が多かった。 「馬鈴薯の栽培で大事なのは、芋が成長する夏場、夜間に気温が下がり冷えること。北海道はもともとそのような適性があったが、昨年は夜間に冷えなかった。これにより馬鈴薯は澱粉量が少なくなり水分を多く含む状態になってしまう」と説明する。
地球温暖化が深刻化する中、来年以降、夜間に気温が下がらない恐れに対しては「品種改良が対策として有効」と言う。 「カルビーポテト社が独自開発した『ぽろしり』は従来の品種に比べて病害虫に強く、収量の増加が見込まれている品種。今後も新しい品種を開発していく。病害虫に抵抗性のある品種は開発が進んでいるが、温暖化の勢いがあまりに激しいため、品種改良が追いつくのが非常に大変な状態」と続ける。 将来の不作への備えも目的に、カルビーは毎年、馬鈴薯を海外から輸入している。 「豊作のときも、あえて輸入を継続している。為替の影響もあり採算は全く合わないが、窓口を絶ってしまうと、いざというときに入らなくなるため、輸入を継続している」という。
貯蔵施設では、冷蔵設備の積極的な使用を進めていく。今年、北海道の貯蔵施設で使用を開始し「今後、貯蔵期間の長い北海道のみならず本州でも導入していかなければならない」との考えを明らかにする。 貯蔵に最適な温度は10℃台だが、北海道でも10℃台の維持が今後難しくなってくるとの見立てが背景にある。 北海道中川郡幕別町の貯蔵施設は、1つの倉庫としては北海道最大規模の最大1万トンの貯蔵能力を持つ。農作物を貯蔵するコンテナ貯蔵庫が10室あり、1室あたり1000トン貯蔵できる。10室のうち5室に冷蔵設備を導入している。