グーグルマップを惑わす複雑な線路
【汐留鉄道倶楽部】グーグルマップやヤフーマップの航空写真で、車両基地や貨物ターミナルを眺めるのは楽しい。こうした施設では単線や複線の本線から複雑な枝分かれを繰り返して10本を超える線路が並ぶこともあり、列車が走るコースを目で追ってしまう。 先日、東京・上野に近い田端にあるJRの貨物操車場跡の信号場と東北貨物線を行き来するルートをたどっていて、おもしろいものを見つけた。線路が橋から地上へワープしていたのだ。といっても実際の線路がワープするはずはなく、航空写真に道路や鉄道、ビル名などを書き足した説明書きというか補助線のようなラインがジャンプしていた。 グーグルマップの“異変”は京浜東北線の王子駅とその周辺にあった。実際には同じ線路であるはずの東北線、上野東京ライン、高崎線が別物になっていたのはご愛敬として、大宮方面から来た上野東京ラインが王子駅のホームを貫通し、さらに京浜東北線へ抜けて、隣接する廃線跡の橋から、下を走る東北線の線路に飛び降りて合流した!?
並走する他の線路も航空写真に照らし合わせると、ミステリアスな世界が広がっていた。人の手で引けばありえないラインだろう。おそらくAIが迷いに迷った末、苦肉の策で創作したのかな。ミスをとやかく言うつもりはない。ここの線路は世界のグーグルマップを惑わすほど複雑なのだ。 そんな複雑さにロマンを感じ、どうなっているのか見に行った。王子駅は桜で有名な飛鳥山公園に隣接し、都会なのに静かで緑豊かだ。飛鳥山公園と京浜東北線の間に上野東京ライン(東北線)と湘南新宿ライン(東北貨物線)があり、駅を挟んだ反対側には貨物専用だった北王子支線廃線跡と新幹線の高架がある。 これらの線路は王子駅を上野方面(南方)へ抜けてから立体交差で並びを変え、上野東京ラインだけが左方に分かれて尾久駅へ向かっていく。王子駅の南口改札から数分歩くと、上野東京ラインだけの踏切に出くわした。残りの新幹線、東北貨物線、京浜東北線は仲良く並走したままだ。