海中に沈められた宝物 “海底熟成酒” 新たな副収入に…人口2400人、小さな町の挑戦
海の底に沈めて静かに時間をかけて熟成させた酒。“海底熟成酒”作りが大分県佐伯市で行われています。海底で熟成すると、バナナやパイナップルのような香りの成分が高まり、味わいもまろやかになると言われています。人口約2400人の地域で協力して仕上げる新たな挑戦を取材しました。 【写真を見る】海中に沈められた宝物 “海底熟成酒” 新たな副収入に…人口2400人、小さな町の挑戦 海水が入らないよう蓋をロウで固めた酒瓶。その周りは頑丈なケージで覆われています。 去年11月、佐伯市鶴見沖ではワインと焼酎あわせて300本が水深15メートルの海底に沈められました。 鶴見地域シングルシード養殖協議会 芦刈誠仁広報部長: 「最初はわからないことばかりだったし、これだったら大丈夫だろうとやってみてもやっぱりだめだったし、試行錯誤の連続だった」 佐伯市鶴見では水揚げ量や魚価の低迷を受けて、4年前から漁業関係者の新たな副業としてマガキの養殖が始まりました。その養殖作業の合間に生まれた新たな地域おこしが「海底熟成酒」です。 鶴見地域シングルシード養殖協議会 芦刈誠仁広報部長: 「自分たちも楽しみながらやっている事業です。鶴見の魚やカキを食べて海底熟成酒を飲んでもらい、鶴見の素晴らしい景色、五感で鶴見・佐伯を感じてほしい」 4月13日、5か月間沈められた海底熟成酒の引き揚げ作業が行われました。ダイバーが酒瓶を入れたケージを慎重に回収していきました。 ビンの表面にはフジツボや石灰藻が付着。海の底で静かに熟成を待つ時の流れを感じさせます。引き揚げた酒瓶は、衛生対策として消毒したあと、磯のにおいを除去し、味を落ち着かせるため地上で1か月ほど保管します。 海底で熟成させた白ワインを実際に試飲させてもらいました。 田辺記者: 「熟成前と比べて色味が若干薄くなっていますが、まず香りが全然違いますね。海底熟成されたあとは、渋みがかなり少なくなっていて、甘みを感じる気がします」 佐伯市鶴見の海底熟成酒を販売しているフルタ酒店。ソムリエの資格を持つ古田茂子さんが海に沈めるワインを選定しています。