俳優・小林聡美の愛読書は〈猫が作った俳句〉。俳句と絵がセットになるとより世界観が深まる【私の愛読書】
さまざまなジャンルで活躍する著名人たちに、お気に入りの一冊をご紹介いただく連載「私の愛読書」。この度ご登場いただくのは、自然体が素敵な個性派俳優の小林聡美さん。このほど出されたエッセイ『茶柱の立つところ』(文藝春秋)には、50代後半となった小林さんの等身大の魅力が溢れている。そんな小林さんにとっての「愛読書」は、南伸坊さんによる猫目線の俳句絵本『ねこはい(角川文庫)』(KADOKAWA)とのこと。「猫」と「俳句」という小林さんの「好きなもの」が詰まったハイブリッドな一冊にはどんな魅力があるのだろう?
「あ、これでいいんだ」って肩の力が抜ける本
――『ねこはい』には、いつ頃出会われたんですか? 小林聡美さん(以下、小林):単行本(初出は青林工藝社刊)で出た時ですね。確か俳句を始めたばかりの頃で、「俳句って難しいし、大変」って思っている時にこの本を見つけて「あ、これでいいんだ」って肩の力が抜けました。「猫が作った俳句」ってことになっているんですが、ふざけているようでよく味わうとほんとにいい句ばかり。絵もすごく愛らしくて、俳句だけだと伝わりにくい情景も絵と一緒になることで世界観も深まる。どこか禅画のような余白ありありなところが好きですね。 ――猫のおやじくささもイイですね。 小林:ブサイクな猫が本当にかわいくてねー。猫って本当にこういうこと考えてるのかもって思いますね。 ――どんな時に読まれるんですか? 小林:今も句会をやっているんですが、やっぱり初めの頃のようなモチベーションを維持するのって難しいんですよね。「あーどうしようかな」ってなった時にパラパラすると「難しく考えなくていいし、こういう感じでいいんだよな」って気が楽になる。 ――ちなみに俳句はどんなところがお好きなんですか? 小林:自分の見た景色や感じたことを、短い言葉で収めるというルール。なんか写真とも似ていて。写真も子供の頃から撮るのが好きなんですけど、それに似た切り取り方ができるのがいいなと思いますね。同じものを見ても人によって捉え方が違うという視点の多様性も面白いし、あとはやっぱり句会が楽しいんですよね。俳句を作るだけだったら続かないけど、句会でみんなで遊ぶっていうのが楽しみなんです。