「中国の執拗な妨害にもめげない」フィリピン近海の緊張激化で東アジア諸国がやらねばならないこと
2024年4月26日付のワシントン・ポスト紙は、レベッカ・タン同紙東南アジア支局長らによる「次のアジアの戦争は、係争中の岩礁上の錆た軍艦が引き金になり得る」と題する記事を掲載している。 世界で最も熱い争いが繰り広げられている海域において、アジアの次の戦争のリスクは、岩礁に座礁したおんぼろ船にかかっている。フィリピンは 1999 年、南シナ海での領有権を主張するため、軍艦シエラ・マドレ号をセカンド・トーマス礁に座礁させた。現在、同領域は、比中間の緊張激化の震源地となっている。 中国は南シナ海の大部分の領有権を主張し、ここ数カ月、フィリピンによるシエラ・マドレ号への物資輸送を阻止する動きを強めている。中国の沿岸警備隊や民兵の船がフィリピンの補給船に繰り返し群がり衝突している。 中国船はまた、至近距離から放水銃を放ち、フィリピン船を航行不能にし、船員を負傷させた。これ以上緊張が激化すれば、武力衝突に発展しかねないとフィリピン当局者等は警告している。 米国は、フィリピン軍艦が武力攻撃を受けた場合、1951年の相互防衛条約に基づき、米軍が対応することになると強調している。マルコス大統領は、先月初めに米国でバイデン大統領と会談した後、外国勢力によってフィリピン軍人が殺害される場合も条約を発動する理由になると述べた。
この浅瀬をめぐる紛争は、係争中の数十の島や岩礁等の1つである。習近平の中国がますます攻撃的になる中、フィリピン、ベトナム、マレーシアといった東南アジア諸国は、自国の領有権を主張し、経済的利益を追求するために行動している。 この地域はここ数年で最も戦争に近づいていると言える。比海軍の報道官は、これは中国の「膨張主義」を示すものだと述べ、「西フィリピン海で起きていることは、中国が世界に対して行おうとしていることの縮図に過ぎない」と付け加えた。 中国は南シナ海全域に常時数百隻の船舶を配備している。これら船舶は沿岸警備隊と海上民兵が混在し、政府出資のものも商業漁業用とし登録されているが、係争海域での中国のプレゼンスを確立するために使用されている。これらの船舶は何年もの間、シエラ・マドレ号の周辺をうろついていた。 2021年、フィリピンが補給活動を行うたびに、中国は平均1隻の船を派遣しただけだった。23年には平均14隻に急増した。昨年12月には、少なくとも46隻の中国船がセカンド・トーマス礁周辺をパトロールしていた。 かつてはまれだった放水銃の使用が、昨年12 月以降は常態化している。3月5日の補給任務の際、2隻の中国船がフィリピン船からすぐの距離で放水銃を放ち、船のフロントガラスを粉々にし、船員4人が負傷した。 比の補給船が数隻損傷し、攻撃が激化していることへの懸念が高まっているため、比政府高官は、任務遂行の方法を再考していると述べた。海軍のトリニダッド報道官は、「われわれはめげない」と語った。 * * *