第一次・第二次世界大戦時の不発弾が年々危険になっている
第一次世界大戦及び第二次世界大戦時の不発弾は時間が経つとともに爆発しやすくなっていると指摘する最新研究が、科学ジャーナルRoyal Society Open Scienceに掲載されました。 【全画像をみる】第一次・第二次世界大戦時の不発弾が年々危険になっている 「弾薬類はどんどん劣化していき、環境への危険物質の放出につながり、環境的かつ社会的なリスクをもたらす可能性があります」と論文には書かれています。 そのうえ、爆薬が劣悪な保管状態か湿気や特定の金属など多くは好ましくない要因の存在によって時間の経過とともに劣化していくと、弾薬類は外部刺激にますます敏感になり偶発的な爆発を起こしやすくなる可能性があります。
第二次世界大戦時代の不発弾を研究
研究チームはノルウェーで見つかった砲弾などから取り出された、アマトールというトリニトロトルエン(TNT)と硝酸アンモニウムの混合爆薬を調べました。イギリスは第一次世界大戦中に砲弾不足になったことから、1915年に初めてアマトールを製造。アマトールは(第二次世界大戦までの)数十年間にわたって純粋なTNTの手頃な代替品として爆薬に使用されていました。 ノルウェーで回収されたのは不発弾、つまり何らかの原因で爆発をしなかった弾薬類で、まさにそんな事態を防ぐための爆発物処理オペレーションの最中に見つかったものでした。今回のチームが調査した砲弾や爆弾はどれもドイツ製で、1945年5月以前に生産されていたそう。 各不発弾から取り出されたアマトールの衝撃感度を調べるにあたって、チームは落槌感度試験機と呼ばれる装置を使いました。この装置はその名のとおり、爆薬のサンプル上に鉄槌を落として、反応を引き起こすのに必要な力の量を割り出すものです。
意外な研究結果
驚くべきことに、不発弾に入っていた爆薬の衝撃感度が投下された当時よりも現在のほうが高くなっていたのです。論文の中で“substance B”と呼ばれていたサンプルでは予測の4倍を示していました。 投下されてから80年も経つ爆薬の爆発する危険性が高まった理由は、分からずじまいでした。チームはアマトールが地中で金属と接触して汚染されたことで錯塩が形成され、混合爆薬を感作させたのかもしれないと仮定。単に爆弾が何十年も地中に埋まって構造完全性を失っているという可能性もあります。