若手は「ホワイト過ぎて辞める」のではない。常識が転換した、正解がない時代を生きる若者の苦悩
ロードマップ不在の現代への「不安」
――部下を褒めるマネージャー層は多いけど、きちんとしたフィードバックをしていないというのもデータでも出ているそうですね。さらに「放置型OJT」になり、教育機会がすごく減っている現状がある、と。教育機会が削られてしまったのには、どんな原因があるんでしょうか。 古屋:端的に、若者がすぐ辞めちゃうからですね。教えないから辞めてしまう、すぐ辞めてしまうからさらに教えなくなる、という悪循環に陥りつつあるんです。すぐ辞めてしまう人に教える時間をかけるって、企業側からしたらめちゃめちゃコスパが悪い。 だから、教育しなくてもいい即戦力人材を中途採用で採った方が、企業はコスパが良いんです。ここ10年ぐらいで中途採用をする大手企業が急速に増えたのも、そうした背景があるから。大企業であっても、新卒入社でキャリアを全うする方式は、がらりと変わりつつあります。 今までは、40代になれば課長に、50代になれば部長になれる。そして年収はこれぐらいなる、というロードマップが明確だった。今の若者には、これがない。自分の会社がどうなるかわからない。事業部ごと外資に売られるかもしれないし、はたまた中途採用で入ってきた人が出世をして、自分は出世できないかもしれない。若手は不安でいっぱいなわけです。
取材・文/ヒオカ 構成/金澤英恵
古屋 星斗,ヒオカ