中谷潤人、夢のPFP1位へ“最善の道”は? 井上尚弥との激突だけじゃない「近未来」を模索する【現地発】
「ドリームファイト」も無謀だとは感じられず
ファン垂涎の一戦で、通称“愛の拳士”が先輩チャンピオンを下すようなことがあれば、一挙に世界的なビッグネームの仲間入りを果たす。PFPでトップ3に入っても不思議はない。そこまで辿り着けば、夢のPFP1位も現実味を帯びてくる。 もっとも、これもあくまで筆者の個人的な意見だが、井上戦が何らかの理由で行われないか、あるいは敗れても、中谷には依然としていつか世界トップの評価を得るチャンスがあると見ている。 中谷は、まだ26歳で、伸びしろも多い。身長172センチ、リーチ176センチというかつてフライ級で戦っていたとは信じられないような体躯を持っており、階級を上げるたびに強くなっている印象がある。 まだまだ発展途上であり、それでいて現在地まで辿り着いたことが驚異。本人は「スーパーフェザー級くらいまでいけたらと。骨格的にはいけるんじゃないかと思っています」と語っており、より上の階級への昇級は十分に可能だろう。単に“上の階級でも戦える”という話ではなく、中谷の場合、“ピークを迎える”のがフェザー、スーパーフェザー級だったとしても驚きではない。 世界的なビッグネームになった井上に対しては、いわゆる「冒険ファイト」を望む声は消えない。スーパーフェザー級からの3階級制覇王者であり、現在はWBA世界ライト級王座を保持するジャーボンテ・デービス(米国)への挑戦を希望する声が特に海外で多いのはボクシングファンならご存知の通り。井上のもともとの骨格を考えれば、それは現実的ではなく、もはや話題になるべきだとも思わない。 ただ、中谷に関して言えば、そういったドリームファイトがそこまで無謀だとは感じられない。現状では4階級も上で戦い、30戦全勝28KOという完璧な戦績の“タンク”・デービスとの対戦がいつか話題になる位置まで上がっていくのは想像できないことではない。あり得るとしても数年後だけに、少々無責任な物言いではあることは承知の上。“次の怪物(ネクスト・モンスター)”といった呼称が失礼なほどの成長度を誇示している中谷には、それだけの可能性が見えているということだ。 日本史上の「最高傑作」である井上に続き、同じくワールドトップクラスの素材が出てきたことを同世代の私たちは喜ぶべきだ。中谷が期待通りに成長を続ければ、日本ボクシングの隆盛も継続する。 その行く手に、さらに楽しみな未来がうっすらと見えてくる。 [取材・文:杉浦大介]