“ドン底”西武の新監督に就任した西口文也新監督はどうやって再建するつもりなのか…キーマン指名は0勝11敗の高橋光成
渡辺GMが「勝負師」と命名したメンタルの強さを脈打たせている選手たちももちろんいる。西口監督も「やはりピッチャーですね」と笑う。 「誰とはこの場では言わないけど、メンタルが強そうなピッチャーが多い」 チーム全体が不振にあえぐ状況で10勝をマークし、187個で最多奪三振のタイトルも獲得した右腕・今井達也(26)や、同じく10勝をあげたルーキー左腕・武内夏暉(23)らを指していると見られる一方で、気になる選手もいる。 2014年のドラフト1位で群馬・前橋育英高から入団し、西口氏が現役を引退し球団本部編成部に所属した2016年から空き番になっていた「13」を2019年から受け継ぎ、エースを拝命しながら未曾有の不振に陥った高橋の存在だ。 春季キャンプで右肩の張りを訴え、出遅れた今シーズンの高橋は、四死球をきっかけに失点と黒星を重ねる登板が続いた。最終的には0勝11敗と、1960年の大津守(近鉄)以来、64年ぶりにリーグワースト記録の開幕11連敗に並んだ。 西口監督は苦笑しながら、昨シーズンまで3年連続2桁勝利をあげて、先発ローテーションの中心を担ってきた高橋へ次のように言及している。 「今年の髙橋光成の成績は、もちろん満足できるものではなかったと思います。特にひとつも勝てなかったのは、本人にも(メンタル的に)弱い部分があったと思うので、そこは乗り越えてもらって、来年は本当にやってもらわないと。光成だけで借金が……ねえ。そこは言わなくてもわかっていると思うので。やってもらいます」 自身がそうだったように、メンタルを鍛える第一歩が日々の練習となる。15日からはさっそく、西武は新体制下での秋季練習を所沢市内でスタートさせる。 「細かいことは当日に会ってから、選手たちに話をしたい。いまこの場で言えるのは、今シーズンはこういう順位であり、成績だった点を踏まえて、秋季練習や秋季キャンプをしっかりとやってもらいます。もうそれだけですね」 最後の「やってもらいます」の部分で、新指揮官は笑顔を浮かべながら意図的に語気を強めた。1994年のドラフト3位で立正大から入団し、引退後は先述した球団本部編成部を皮切りに二軍および一軍の投手コーチ、二軍監督をへて、一軍で采配を振るう西武での31年目のシーズンの到来を、西口新監督はいまから心待ちにしている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)