末裔はあの人気お笑い芸人 仙台藩主ゆかりの大條家茶室が修復
宮城県山元町の指定文化財になっている「大條(おおえだ)家茶室 此君亭(しくんてい)」が修復工事を終え、20日、報道機関に披露された。江戸後期の1832(天保3)年、仙台藩主伊達斉邦(なりくに)が家臣の大條家に与えた建物とされ、2011年の東日本大震災の地震などで破損が進んでいた。24日午後1時から一般公開される。 【写真】伊達みきおさん、地震で壊れた茶室「助けなきゃ」 ご先祖とのえにし 此君亭は、土壁に円窓が切られた書院造りで、広さ約46平方メートル。庭園もある。仙台にあったが、昭和の初めに大條家の領地だった山元町坂元地区に移され、地域の交流の場になってきた。空襲を免れ、仙台藩ゆかりの茶室で唯一現存するものだ。 震災後は使用できなくなり、町が昨年から修復を進めてきた。柱などの部材はできるだけそのまま使い、当時の工法で再現。「もとは豊臣秀吉が伊達政宗に贈ったもの」との俗説もあったが、今回、柱の年代測定で1800年ごろ伐採されたスギと判明し、建てられたのは天保年間とわかった。 大條家は、室町時代に伊達家から分かれた家系で、明治維新後に伊達姓に戻した。その子孫の一人が、お笑いコンビ・サンドウィッチマンの伊達みきおさん。伊達さんはラジオ番組で修復への寄付を呼びかけ、相方の富澤たけしさんとともに自らも寄付をするなど、ご先祖の茶室復活へ強力な助っ人になった。 茶室は今後、一般の人にも茶道教室や文化行事用に貸し出す。町教委の山田隆博さんは「実際に触れて使ってもらうことで、郷土の誇りにしてほしい」。24日午前には近くの坂元小学校で記念式典があり、サンドウィッチマンからの祝電も披露される。(石橋英昭)
朝日新聞社