ロシアの最前線に送り込まれた「北朝鮮軍」が次々に“惨殺”…囚人兵と同じ“捨て駒”扱いの悲惨すぎる実態
多国籍軍のセオリー
「実はああいう映像は、ヤラセは言い過ぎですけれど、現実的なものではありません。北朝鮮などにプレッシャーを与えるため、『リアルではないがインパクトが強い場面』をテレビ局や新聞社に撮影してもらい、少しでも大きく報道してもらおうという狙いなのです。もし本当に米韓両軍が一緒に上陸作戦を敢行したなら、例えばアメリカ海兵隊の兵士が機関銃を撃ち、脇にいる韓国軍の兵士が弾薬を手渡す、という光景が見られることになります。しかし、それは言葉の問題などからあり得ないのです」(同・軍事ジャーナリスト) とはいえ、戦争の歴史において多国籍軍は珍しくない。異なる国の軍隊が協力して敵軍と戦う場合、実は定石やセオリーといったものが存在する。仮に日本に敵軍が侵攻し、自衛隊とアメリカ軍が共に迎撃する場面を想定してみよう。 「この場合、例えば福岡県は陸上自衛隊、山口県はアメリカ軍が対応、というように完全な別行動を取らせるのがセオリーです。ベトナム戦争に参戦した韓国軍も、このやり方で南ベトナム解放民族戦線と戦いました。広島県の敵軍を陸自とアメリカ軍が共同で攻撃するにしても、それぞれの部隊は独立させ、日米の兵士を混ぜるということは絶対にしません。ちなみに、この場合でも陸自とアメリカ軍の指揮官は、英語か日本語で流暢に会話できることが求められます。やはり異なる国の軍隊が異なる言語で共に戦うというのは、それほど難しいことなのです」(同・軍事ジャーナリスト)
セオリー無視のロシア軍
二国の言語が原因で意思疎通が困難だと、最悪の場合は同士討ちが起きてしまう。例えば陸上自衛隊とアメリカ軍が進軍しながら敵軍を攻撃する際、右に展開していた自衛隊が左に、左にいたアメリカ軍が右に、と交差することは珍しくない。 「陸上自衛隊だけ、もしくはアメリカ軍だけが作戦を展開していれば、意思疎通は完璧ですから何の苦もなく部隊は交差できます。ところが意思疎通に難のある2国の軍隊が交差すると、最悪の場合は敵軍と誤認して攻撃し、同士討ちとなってしまいます。他にも火力支援の問題があります。歩兵が敵軍に向かって攻撃する際、後方の砲兵隊が砲撃で支援するわけですが、同じ国の軍隊でさえ誤射が発生し、自軍を砲撃してしまうことがあります。仮に北朝鮮軍の兵士が突撃し、後方にいるロシア軍が砲撃を担当するとして、意思疎通が難しければ誤爆の危険性は上昇します」(同・軍事ジャーナリスト) ところがニューヨーク・タイムズの記事によると、索敵作戦はロシア兵と北朝鮮兵を混ぜた状態で行ったようなのだ。さらにCNNや中央日報は、北朝鮮の兵士がロシア軍部隊の指揮下に置かれる可能性を指摘している(註1と註2)。 そもそも北朝鮮の兵士は、自国の制服や武器でウクライナ侵略戦争に参戦しているわけではない。冒頭でご紹介した通り、ロシア軍の軍服を着用し、ロシア軍の武器が渡されている。