「2024年3月に開園したテーマパーク」“受け身気質の日本人”でも楽しめる仕様に驚いた
圧倒的な没入感を楽しめる「江戸花魁奇譚」
新しい形式のアトラクションだと、どうしても身構えてしまうかもしれないが、その必要はないようだ。8種類ある館内のアトラクションのなかで、特に強い没入感があったというのが、「江戸花魁奇譚」だそうだ。内容は、とあるオークションに参加したという設定のゲストが、オークションの目玉である妖刀「藤烏」を落札した瞬間、江戸の花街へと迷い込み、その妖刀にまつわる物語に巻き込まれていく……というもの。 「ネタバレになってしまうために詳しくは言えないのですが、受動的にも楽しめる一方で没入感が圧倒的。濃密な体験ができます。シーン転換ごとのワクワク感、次に何が起こるのかがわからないドキドキ感が確実にある。ライド形式のアトラクションでも、次の部屋に入ると、いきなり照明が明るくなって『おー!』となるじゃないですか。それに近いすごさがあります」
常設で体験できるのはここだけ
「江戸花魁奇譚」のほかにも、有料で楽しめる「ザ・シャーロック」「東京リベンジャーズ イマーシブエスケープ」は、どれもセットのクオリティが非常に高いという。無料のアトラクションでのおすすめはあるのだろうか。 「無料のアトラクションでいうと、『ジャック・ザ・リッパー』という、切り裂きジャックをテーマにしたホラーメイズ(ホラー型迷路のこと)は、もっともテーマパーク感が強いと思います。これはUSJのホラーナイト期間にやっている『ホラーメイズ』と同じようなクオリティですが、常設で体験できるのはここだけだろうと思います。 ホラー映画の世界を追体験することが主眼に置かれている『ホラーメイズ』と比べると、アトラクション内が明るく、広いのが特徴です。というのも、イマーシブシアターとして、アクターが演じるエリアと観客が歩く場所が合体している必要があるからでしょうね。その世界に没入することをいかに重視しているのかがよくわかります」 アトラクション世界の中に、文字通り“入り込む”ことができ、なおかつ日本人にローカライズされたイマーシブシアターを提供する「イマーシブシアター東京」。一見の価値があるだろう。 <取材・文/谷頭和希> ―[テーマパークのB面]― 【谷頭和希】 ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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