中国BYD、初のハイブリッド・ピックアップをメキシコで発表へ
(ブルームバーグ): 中国最大の電気自動車(EV)メーカー、比亜迪(BYD)は同社初のピックアップトラックを世界最大の同トラック市場を擁する米国の隣国、メキシコで発表する計画だ。
BYDは14日にメキシコ市で開催するイベントで、ハイブリッド・ピックアップトラック「シャーク」を披露する予定だと発表した。BYDは以前、シャークを世界販売する計画だと説明していたが、現時点では米国販売の予定はない。
シャークの価格や性能・仕様、生産拠点などはまだ公表されていない。
メキシコで中国車の市場シェアは急拡大している。また今回の発表は、米バイデン政権が中国製電気自動車(EV)への輸入関税を4倍に引き上げる準備を進める中で行われる。ブルームバーグNEF(BNEF)によると、中国ブランドのEV市場シェアは南米で約87%、メキシコで20%に達している。
BYD車は現在、米国では販売されていないが、同社はオーストラリアを含むアジア全域と、ピックアップトラックの需要が高い中南米の市場に進出してきた。これらの地域で特に人気のあるピックアップトラックはトヨタ自動車の「ハイラックス」やフォード・モーターの「レンジャー」で、一部市場にはこれら2種のハイブリッドモデルも投入されている。
中国ブランドが自国市場以外で新モデルを発表するのは異例であり、成長が鈍化している中国に拠点を置くBYDや他の自動車メーカーにとってメキシコの重要性が高まっていることを示している。BYDはメキシコにEV工場を建設することを検討していると、ブルームバーグは3月に報じた。
深圳に本社を構えるBYDは1万ドル(約156万円)未満のエントリーレベルのEVから168万元(約3600万円)前後の高性能の純電動スーパーカーまで幅広い一般向けモデルを製造している。同社は中国のEV市場で支配的地位にあり、2023年10-12月(第4四半期)には一時、米テスラを抜いてEV販売で世界トップに立った。