学校支援へ寄付型納税「ふるさと母校応援制度」…部活環境や校内生活向上に
学校の部活動で必要な物品購入など教育環境の充実を図るプロジェクトに対して、クラウドファンディング型ふるさと納税で支援を募る高知県の「ふるさと母校応援制度」の取り組みが広がっている。これまで私立中・高校4校と県立学校7校が参加。部活動で必要な用具が高額で購入できず、練習量が制限されている学校もある。関係者は「部員たちは目標に向けて懸命に頑張っている」と協力を呼びかける。(小野温久) 同制度は私立・県立学校の魅力を高めるため県が今年度に創設した。各学校が計画した事業について、クラウドファンディングでふるさと納税の寄付を募集。寄付は税制上の優遇措置が受けられ、サイト手数料を除いた全額が学校に交付される。
県立高知小津高校(高知市)ライフル部は「 強靱(きょうじん)化プロジェクト 世界へ羽ばたけ!」と名付けて参加。部員は31人。それぞれ10メートル先の的を狙うビーム・ライフル競技とビーム・ピストル競技の練習に励む。四国高校総体や全国大会に常時出場し、全国高校選抜大会ビーム・ピストルの部で優勝した選手がいるなど活躍する。 部員たちは上位を目指して精力的に活動するが、用具が足りず、毎日射撃できないのが悩みの種だ。ピストル競技の的や点数表示装置は計40万円もかかるため導入できず、土日に県立春野総合運動公園の射撃場まで通う。ライフル競技で身に着けるジャケットとパンツも4組(既製品で1組約8万円)だけ。部員間でやりくりして射撃は4日に1回しかできず、古くなったジャケットには穴が開き、粘着テープを貼って応急処置をしている。
いつでも射撃できる練習環境にしたいと目標金額を200万円に設定。募集期間は10月22日~12月15日だが、23日現在で寄付額は14万円にとどまる。部長の2年生(17)は「毎日撃たないと身につかないような感覚があり4日に1回では足りない」と訴える。顧問の教諭(42)は「自分をどれくらい乗り越えられるか、精神面と粘り強さが鍛えられる競技。部員たちの思いをかなえさせたい」と話す。 プロジェクトのうち、先行して始めた高知学芸中高の食堂券売機導入は目標額を達成して終了。募集中の明徳義塾高野球部の屋外ロッカー整備や、土佐女子中高吹奏楽部のマリンバ購入はすでに目標額を超えた。県私学・大学支援課の担当者は「OBらが母校を思う気持ちが伝わる」と話す。