ずっとフリーランスです。年金を75歳まで繰下げたら受給額はいくらになりますか?
「老後2000万円問題」が話題になっていることから、老後生活のために2000万円を用意しなければならないと考える人もいるのではないでしょうか。最近は、会社などの組織に属さずに個人で仕事を請け負うフリーランスという働き方をする人も増えています。十分な収入を得ていたとしても、長年フリーランスでいる人が将来的に受け取れるのは、国民年金のみになる可能性が高いです。 本記事では、フリーランスが受け取れる年金額や繰下げ受給の制度を利用して、年金の受取開始時期を75歳まで遅らせた場合の受給額などを解説します。
フリーランスは国民年金の第1号被保険者
フリーランスは国民年金に加入します。国民年金は日本に住む20歳以上60歳未満の人がすべて加入するべき年金保険です。被保険者は以下の3種類に分類されており、そのうちフリーランスは第1号被保険者に該当します。 ●第1号被保険者:自営業、フリーランス、学生など ●第2号被保険者:厚生年金保険料を支払っている会社員など ●第3号被保険者:第2号被保険者の被扶養配偶者(専業主婦など)で20歳以上65歳未満の人 第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者に限ります。第1号被保険者に扶養されている場合は第3号被保険者にならないので、自分で国民年金を納付しなければなりません。 ■フリーランスが老後に受け取れる年金額 フリーランスが受け取れる国民年金ですが、令和5年度は月額6万6250円、年額にすると79万5000円です。これらは20歳から60歳までの40年間を通して保険料を払い続けた場合の金額となり、未納や保険料の免除期間、納付猶予の期間があると満額支給となりません。 年金額は年度ごとに変更があるため、月額6万6250円が生涯にわたって続くわけではない点に注意してください。なお、令和4年度の年金額は月6万4816円でした。
繰下げ受給の増額率は1年間で8.4%
原則として65歳から受け取れる国民年金ですが、受給開始年齢を66歳以降75歳までの間に遅らせれば年金額を増やすことが可能です。年金の受取開始年齢に応じた増減率が適用され、増額した年金を一生涯にわたって受け取れます。 増額率は「0.7%×65歳に到達した月から繰下げ受給を申し出た月の前月までの月数」です。年金の受取開始時期を1年間遅らせると8.4%、5年間で42.0%、最長である10年間になると84.0%も年金額を増やせます。 ■75歳まで繰上げた場合の増額率は84% 年金の繰下げ受給によって、最長である75歳0ヶ月から年金を受け取った場合は84.0%の増額率が適用します。ただし、75歳0ヶ月以降は、どんなに年金の受取開始時期を遅らせても増額率は84.0%から変わらない点に注意してください。 なお、65歳から年79万5000円の国民年金を受け取れる人が、繰下げ受給によって受け取れる年金額は図表1のとおりです。 【図表1】