新型日産スカイラインNISMOはもはや工芸品である! 11年目を迎えたスポーツセダンが今なお魅力的だったワケとは
日産「スカイライン」に設定された1000台限定の「NISMO」は、魅力的なスポーツセダンだった! サトータケシがリポートする。 【写真を見る】新型スカイラインNISMOの内外装など(19枚)こだわりの専用パーツが、とにかくスゴい!
毎日の足に使ってもいい
クルマに興味がある人は、“いまさらスカイライン!?”と、思うかもしれない。実は筆者も、スカイラインNISMOに試乗すると聞いて、そう思った。 デビューから約17年、そのパフォーマンスを磨きに磨き抜いて世界のスーパーカーの仲間入りを果たした「GT-R」。デビューから2年、世界中で人気が爆発してオフィシャルHPに“ご注文の一時停止のお知らせ”の案内が出ている「フェアレディZ」。この2台にはさまれたスカイラインは、影が薄い。立派になったふたりの弟を横目に、くすぶっている長男のイメージだ。 けれども、スカイラインNISMOのステアリングホイールを握っていると、多幸感がじわじわと、波のように押し寄せてきた。このクルマには、乗った瞬間に「楽しい!」と、思わせるような、わかりやすさはないけれど、一度寄り添ったら離れられなくなるような、滋味深さがある。 契約した1000人(1000台限定だ)のオーナーは、ホントにいい買い物をしたと思う。こんなクルマは二度と出てこないかもしれないので、末永く、大切に乗ってほしい。 現行の「スカイライン400R」をベースに、パワートレインと足まわりをNISMOが鍛え上げた、というのがこのクルマの売り文句だ。ただし、スタートして最初に感じるのは洗練されている、という印象だ。 まず、乗り心地が洗練されている。後輪はベース車両の400Rが245/40R19サイズだったのに対して、265/35R19と太くて薄くなっており、しかも資料にはリヤサスペンションを4割以上強化しているとある。 したがってタウンスピードではドスンという突き上げを覚悟していたけれど、いい意味で肩透かしを食らった。凸凹を突破しても4本の脚が滑らかに伸び縮みして、路面からの衝撃の角を丸めてくれる。これなら毎日の足に使ってもいい。 エンジンの最高出力はベース車両比でプラス15psの420ps、最大トルクはプラス75Nmの550Nm。 興味深いのは、バカッ速さや超絶レスポンスをわかりやすくアピールするのではなく、アクセルペダルを踏み込むにつれて自然に加速が伸びるフィーリングを重視していることだ。スロットル開度と加速のセッティングや、7段ATとエンジンのコンビネーションが大人っぽい。