箱根駅伝で東洋大が5年ぶりの総合Vを果たす条件とは?
一方の青学大は4区で東洋大に抜かれても、「2分差以内」なら、山で十分逆転できると読んでいた。しかし、4区で東海大にもかわされ3位に転落。トップの東洋大と3分30秒という想定外の大差をつけられる。青学大の“崩壊”はこれだけではなかった。前回脚をつりながら5区を5位と好走した竹石尚人(3年)のペースが上がらない。さらに3つも順位を落とした。4区岩見は区間15位、5区竹石は区間13位。まさかの2連続ブレーキで往路Vの東洋大と5分30秒差の6位に沈んだ。 総合優勝をかけた復路の戦いはどうなるのか。朝8時00分に東洋大がスタートを切ると、1分14秒差で東海大が走り出す。東海大と3位の國學院大は1分30秒差。6区走者の実力を比べると、優勝争いは「東洋大 vs 東海大」になると見ていいだろう。 東洋大の6区登録は今西駿介(3年)、東海大は中島怜利(3年)。ともに前回も6区を走っている。今西が59分31秒の区間5位、中島が58分36秒の区間2位。中島は前々回も6区(8位)を任されており、下りのスペシャリストと呼べる選手だ。今回は区間記録(58分01秒)の更新を狙っている。 東洋大が逃げ切るためには、まずは6区で差を詰められないことがポイントだ。今西は前回、急遽の6区で準備が不足していたが、今回は前年の経験を生かすことができる。出雲5区で区間賞を獲得している走力もあるだけに、酒井監督は「58分台を狙っていかないとダメだと思っています」と話す。 そして7区。東洋大は前回10区区間賞の主将・小笹椋(4年)を、東海大は前回2区7位の阪口竜平(3年)を登録している。東洋大は7区までに主力をつぎ込んでおり、8区以降に東海大を逆転するのは難しい。酒井監督は、「7区が終わってできれば1分。少なくとも30秒のリードはほしい」と5年ぶりとなる総合優勝への条件を口にした。 一方の東海大・両角速駅伝監督は、「6区中島でどこまで詰められるか。7区阪口の走りを演出できるくらいの差にしたいですね。そして、7~9区あたりで並びたい。8区がカギかな」と悲願のタイトルに向けて、逆転Vのプランを描いている。順当なら9区は前回5位の主将・湊谷春紀(4年)の起用が濃厚。エース格の關颯人(3年)を補欠に残しているが、投入するかは微妙なところだという。 そして、両校が最も警戒していたのが青学大だ。トップの東洋大を5分30秒、2位の東海大を4分16秒追いかける展開だが、6区には前回区間賞の小野田勇次(4年)、7区は前回区間新記録をマークした林奎介(4年)ら強力メンバーが控えている。原監督は飯田貴之(1年)を8区、鈴木塁人(4年)を10区に入れる予定でいたが、主力の鈴木を8区に起用することも考えているという。9区吉田圭太(2年)には自信を持っているようで、「6区、7区で1分ずつ詰めることは可能。9区スタートで2分30秒差になっていれば面白い。歴史に残る大逆転を目指します」と原監督は5連覇をあきらめていない。 東洋大が5年ぶりの総合優勝に向かって突き進むのか。それとも東海大が逆転で初優勝を勝ち取るのか。もしくは王者・青学大の大逆襲があるのか。復路109.6kmの道のりは往路以上のドラマが待っているかもしれない。 (文責・酒井政人/スポーツライター)