メルセデス・ベンツ Bクラスは、すべてを刷新して新世代に【10年ひと昔の新車】
メルセデス・ベンツ Bクラス(2012年:2代目フルモデルチェンジ)
「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、メルセデス・ベンツ Bクラスだ。 【写真はこちら】18インチホイールなどを装着したナイトパッケージ装着車は、よりシャープなフットワークを楽しむことができる(全9枚)
メルセデス・ベンツのコンパクトMPV、Bクラスが2代目にフルモデルチェンジされた。シルエットは従来型を踏襲しているが、プラットフォームからパワートレーンまで一新。まったくのブランニューモデルに生まれ変わった。 初代の登場から6年、全面的に刷新されたBクラス。最大の変更点は、初代の特徴だった二重フロア構造を廃したこと。これによりキャビンのフロアが一般的な乗用車のように低くなり、車高も65mm低くなった。反面、これまでなかったサイドシルの段差が乗降時に少々気になるものの、ヒップポイントが低くなったおかげで走行時の腰高な感覚は払拭された。なお、新たに後部のフロアパネルのみを交換することでバッテリーや水素タンクを搭載し、次世代自動車に対応できるようにしたモジュラー構造を採用している。 インテリアでは、X字型のエアコン吹き出し口や、i-パッドのようなディスプレイが目を引く。ソフトパッドを多用するなど質感は大幅に高められており、オプションだがこのクラスでウッドパネルまで用意されているというから驚く。 走りっぷりは意外なほどスポーティな味付けで、ワインディングロードではクイックなハンドリングを楽しむこともできる。リアサスペンションがマルチリンク式とされたのも大きな変更点だが、その恩恵もあってか、4輪がしなやかに路面を捉える感覚は初代よりも格段に上だ。
メルセデス・ベンツ初心者にも最適な1台だ
乗り心地は後席では若干の硬さを感じるものの、前席は快適そのもの。「スポーツ」に設定された「ナイトパッケージ」を選ぶと、さらにスポーティなルックスとなり、スタイリッシュな専用の18インチホイールが与えられ、よりシャープなフットワークを楽しむことができる。 従来型よりもスペックの向上した1.6Lの直噴ターボエンジンは、性能的には必要十分。7速DCTのつながりもスムーズで運転しやすい。アイドリングストップ機能も備わる。さらには空力性能も4ドアクーペのCLSと同等のCd値=0.26を達成。これら効率化によりJC08モードで実に19%もの燃費改善を果たしたというから立派なものだ。 安全面では、コンパクトクラスながら上級モデル並みにディストロニックプラス(自動追従型クルーズコントロール)が設定され、ミリ波レーダーを用いた衝突警告システム「CPA」が標準装備されたことも特筆できる。Bクラスの訴求点である実用性も、前後席とも各部のクリアランスが初代よりも増し、Eクラスを上回る居住性を実現した。 もともと広いラゲッジスペースも「イージーバリュープラス」を装着すると、さらにアレンジ性が向上し、より便利に使えるようになる。車両価格についても、内容を考えると実質的には大幅値下げといえるだろう。メルセデス・ベンツ車の所有歴はないが、興味はあるという人に、とくにオススメしたい1台だ。 画像: 新型SLなどと共通デザインのインパネ。7速DCTはコラム式でパドルシフト付き。COMANDシステムも標準装備。
メルセデス・ベンツ B180 ブルーエフィシェンシー 主要諸元
●全長×全幅×全高:4365×1785×1540mm ●ホイールベース:2700mm ●車両重量:1450kg ●エンジン:直4 DOHCターボ ●総排気量:1595cc ●最高出力:90kW(122ps)/5000rpm ●最大トルク:200Nm(20.4kgm)/5000rpm ●トランスミッション:7速DCT ●駆動方式:横置きFF ●燃料・タンク容量:プレミアム・50L ●JC08モード燃費:16.0km/L ●タイヤサイズ:205/55R16 ●当時の車両価格(税込):299万円
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