別荘もシェアする時代?人気別荘地で増えている「タイムシェア別荘」とは 新築一戸建ての高額化が背景に
全48口で、1口2080万円で年間15泊の権利が得られる。医師や税理士、弁護士らの購入が目立つ。小野社長は大手も参入している現状を踏まえ、「今後もいろいろなバリエーション(の商品)が出てくるのではないか」と見通した。
背景にあるのは、別荘建築の高額化
軽井沢町では不動産需要が堅調で地価が上昇し、建築資材価格の高騰もあって別荘建設のコストが増している。利用できる日数と価格とのバランスが取れた「タイムシェア別荘」は、オーナーの目には「合理的」な物件と映っているようだ。
国土交通省が発表した1月1日時点の公示地価で、軽井沢町軽井沢(旧軽井沢別荘地)は1平方メートル当たり14万9千円。2年連続で住宅地の県内最高値だった。
不動産鑑定士の塚田賢治さん(長野市)は、東京からのアクセスもいい同町の地価は以前から上昇傾向だったと指摘。新型コロナウイルス感染拡大を経た働き方の多様化で、リモート勤務などが普及して移住ニーズが高まった。別荘価格の上昇にもつながっており、町内では7千万~8千万円の物件が売れ筋という。塚田さんは「まだまだ需要が堅調な状況は続くのではないか」とみる。
「別荘に来ると余計に疲れる」…雪かきや草刈り、掃除…業者にお任せ
タイムシェア別荘を運営するロータスカンパニーによると、顧客は別荘を個人で所有したりホテルに泊まったりする費用と、共同所有のコストを比較。担当者は、タイムシェア別荘に合理性を感じる人が多い―と説明する。一方、雪かきや草刈りに追われた所有者から「『別荘に来ると余計に疲れる』という声を聞く」とも明かした。
不動産業者のモリデアイ(軽井沢町)の山下てるひ社長も、布団を干したり掃除をしたりするのが負担―というオーナーの声に接している。有償のサービスが充実するタイムシェア別荘は「ニーズをくんでいる」と分析。これまで別荘でも「家事」を担うことが多かった女性に対しても訴求力があるとみている。(大久保みちる)