別荘もシェアする時代?人気別荘地で増えている「タイムシェア別荘」とは 新築一戸建ての高額化が背景に
複数人で所有し、決められた日数を宿泊…新たな別荘の在り方
別荘の土地と建物を複数人で共同所有し、決められた日数の範囲で宿泊する権利が得られる「タイムシェア別荘」が、長野県北佐久郡軽井沢町で増加している。別荘の新築には数億円かかることもあるが、共同所有により初期費用を数千万円に抑えることができ、維持管理や清掃も運営会社に任せられる。首都圏の富裕層が求めたり、企業が保養所などとして購入したりすることが多く、新たな別荘所有の在り方として今後も広がりそうだ。 【写真】豊かな自然の中に別荘が並ぶ軽井沢
リゾートタウン開発・分譲などのロータスカンパニー(大阪市)は、旧軽井沢エリアなどで全5棟を運営する。現在、敷地約4250平方メートルに立つ別荘を18人のオーナーで所有する商品を販売中。寝室3部屋の他、まきストーブを備えたリビングルームやデッキバルコニー、シアタールーム、サウナなどがある。家具や家電、調理器具など滞在中に必要な備品もそろう。
年間の「占有日」を設定
1口2400万円を支払うと、年間20泊程度の「占有日」が18年間、割り当てられる。余った占有日は、オーナー同士が専用サイトで売り買いできる仕組み。清掃や草刈りなどは委託業者が担う。個人の場合、運営管理費などが年間60万5千円かかる。
同社によると、新型コロナウイルス感染拡大以降に問い合わせが急増した。購入者のほとんどが首都圏の経営者らで、担当者は「プライベートを重視し、静かに過ごしたい人に選ばれている」と話す。
「取引は活発だ」と業者
ホテル運営などのカトープレジャーグループ(東京)は、2022年に軽井沢での別荘事業に参入。現在、2棟のタイムシェア別荘を分譲している。権利は売買や相続も可能で、松下大輔常務は「資産価値が高く、取引は活発だ」と説明。軽井沢エリア以外での事業展開も考えているとした。
不動産業のアセンドホーム(軽井沢町)は、専任スタッフが常駐する物件を販売。ベッドメークやシェフの「出張」といった利用者の細かな要望に対応している。小野博康社長は「別荘に滞在しながら、ホテルのようなサービスが受けられるのが売り」とアピールする。