慣れない土地でうまくやるには? Iターン就農の若手 人との距離感悩みの種に
互いに歩み寄りを
若年層の農業者教育に長年携わるファームサポーターズ・ラボの岡部由美子代表は「何でも相談できる人や、地域内もしくは外にロールモデルを持つと、『一人じゃない』と励まされて頑張れることが多い」と話す。 また、「若年層は否定的な言葉に敏感で、萎縮してしまう傾向がある」と指摘。「受け入れる地域側が、若者の意見に『なぜそう思ったのか』と興味を持って接することで“共育ち”できる良い関係を築きやすくなる」とみる。 移住者が新しい風をもたらす事例もある。親元で就農した30代の米・和牛肥育農家は「移住者の考えは新鮮。移住者がバーベキューインストラクターの資格を取得するのを見て、自分も同じ資格を取った。自分の作った肉と米を、最高の状態で沢山の人に食べてもらいたいという夢もできた」と話す。
取材後記
今回話を聞いた全員に共通したのは、「農業は楽しい」、そして「周囲に悪気のある人は一人もいない」ということだった。私も東京から四国に来て1年、農村部へ行けば、うれしそうに話してくれる人ばかりだった。だから、記事を見て「移住はやめよう」とは思わないでほしい。 若者は移住先で頼られることが多いが、若者も周りに頼っていいのではないかと思う。前述の宮崎さんと同じ地区に住む川崎幸男さん(75)は「本当にいつもありがたいと思っている。自分たちだって(宮崎さんを)助けるのは当たり前だ」と話す。地域は若い人を歓迎し、力の限り助けたいと思っているのではないか。(溝口恵子)
日本農業新聞