「話がスカスカ」な人と「相手が唸る話を」と意気込む人、どちらが交渉を有利に進められるかの意外な結果
■尊敬される人より、雑談で親しみが持てる人を目指す あなたも、「くだらない」と言われることを名誉だと思えるくらいになれば、雑談の達人です。雑談で得られるメリットは次のようなことです。 ①交渉を有利にできる 交渉などの営業の場で、顧客にスムーズに契約をしていただくには、雑談は不可欠です。マサチューセッツ工科大学の研究によると、雑談無しで商談に臨んだ場合の成約率は5.9%。雑談をしてからの商談の場合の成約率は、39.3%。なんと6.7倍以上もの差が開きました。 ②アイデア出し 私の本の中でもっとも売れているのが雑談の本です。出版のきっかけは、まさに編集者との雑談でした。書店周りをし終えて、喫茶店で編集者とお茶をしながら、「今後、書いてみたいテーマはこんなのがありまして」と編集者に企画のアイデアを伝えていました。 そこで雑談の本がよさそうだとなり、今の私につながりました。アイデアは、雑談から生まれることがほとんどです。 ③親密度アップ 親密度は雑談の量に比例します。公式なビジネスに関する会話をしているだけだと、人間関係が築けません。商談で雑談の効能は6.7倍違うとお伝えしましたが、社内の人間との付き合いでも同じです。上司と二人きりで車で移動することになったとき、気まずい時間を感じる人は多いでしょう。その時間に雑談をすれば、親しくなって相談がしやすくなるでしょう。 内容の濃い話をすることで、相手からの尊敬を得たいとか、一目置かれる存在になりたいという欲望が透けて見えると、親しい関係を築くどころか、人間関係の距離が開きます。 今の時代は、尊敬される人を目指すより、雑談を駆使して親しみが持てる人を目指す方が、はるかにメリットが大きいのです。 ---------- 松橋 良紀(まつはし・よしのり) コミュニケーション心理トレーナー 1964年生まれ。青森市出身。20代で営業マンを経験するが、強度の人見知りで人間関係が大の苦手なため、まったく売れず……。ところが30歳のとき、カウンセラー養成学校で心理学を学んだことで人生が激変。支店長となり社内研修講師として全営業所の全社員の営業研修を担当すると、1年で会社の売り上げが140%アップ。2007年にコミュニケーションが苦手な人、困っている営業パーソンのための協会を設立。著書はこれまでに30冊、累計40万部。『話し方で「成功する人」と「失敗する人」の習慣』(明日香出版社)、『「売れる営業」がやっていること 「売れない営業」がやらかしていること』(大和書房)、『何を話せばいいのかわからない人のための雑談のルール』(中経の文庫)など著書多数。 ----------
コミュニケーション心理トレーナー 松橋 良紀