五輪延期で組織委会見 コロナ収束「誰も明言できない」「人間の英知に期待」
●追加費用は「これから協議」
7月24日開幕予定だった東京五輪の延期論について、IOCがあらためて「開幕4か月以上前の段階で抜本的決断を下す必要はない」と一蹴した3月17日から急展開の合意。武藤敏郎事務総長が「急きょこういう形で延期が決められたので」と口にするなど、今後については「これから議論」との発言が目立った。延期に関する事務連絡もままならず、未知のウイルスとの戦いに翻弄されたかのような一面がうかがえた。 延期で発生することが想定される追加費用についても、会場コストに関して、1年後はすでに予約が入ってる施設があり得ることや、大会後に原状回復して返す予定だった施設を再度来年夏まで借りるとなるとそこで費用がかかることなどを懸念点として挙げた上で、「それぞれがどれくらいかは数字を持ち合わせていない」と武藤事務総長は回答。詳細は今後IOC・組織委・都・国で協議するとし、それをどの組織が負担するかについても「これからの検討課題」だと述べるにとどめた。
●自身のがん闘病経験を踏まえ
延期期間は来年夏までとなったが、新型コロナウイルスがそれまでに収まっているかは現時点では不透明だ。武藤事務総長も「いつ収束するかは今の時点で誰も明言できない。専門家もそこまで明言する人は今のところいない」と率直に語った。 その上で、年内開催については「大会前は4か月間、聖火リレーをしないといけないので、年内はないということになった」。2022年開催については、五輪代表選手の資格問題など「検討しなければならないことが起こってくる」などとして、「1年延期も問題はたくさんあるが、いろんな観点から合理的な期間設定だろう」と説明した。 森会長も「(イベント自粛など)国民のみなさんが耐えに耐えている。これをこのまま我慢してもらうのか。そしたら人間社会はなくなるんじゃないか。人間はそこまで英知が出てこないとは思えない」と言葉を強めた。さらに自らの闘病経験を踏まえ、「科学技術がこれだけあって、薬学が進歩している中で、これに期待するしかない。私自身、ダメだと言われた『がん』が新薬で助かった」と未知のウイルスへの治療方法の確立に期待した。