「え!? 年収が高いと支援金はもらえないの?」 知られざる高年収の落とし穴とは
出典:全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」より筆者作成 20等級の方は両方の保険料を足しても3万9156円ですが、40等級の方は10万8528円も支払わなければなりません。このことから、年収が高くなるほど税金や社会保険料の負担が増えることが分かります。 ■利用できない制度が増える 国が行っている制度には年収が上がると利用できなくなったり、受給額が減ったりするものもあるので注意が必要です。 例えば、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月で上限を超えた場合に超えた額を支給する高額療養費制度は、所得区分によって自己負担限度額が変わります。 図表3
出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」 仮に医療費が100万円かかった場合、年収の高い区分アに該当する人のほうが、負担は重くなります。 ・区分アの方:25万2600円+(100万円-84万2000円)×1%=25万4180円 ・区分ウの方:8万100円+(100万円-26万7000円)×1%=8万7430円 また、高等学校等就学支援金制度については、要件の一つに所得要件があり、世帯で年収910万円以上の世帯の生徒は受給ができません。このように年収が高くなると、これまで利用できていた制度が使えなくなったり、負担が重くなったりすることがあります。
税金や社会保険料の支払いが多くても高い年収を目指すべきメリット
仕事を頑張って年収を上げても、負担が重くなるので、一定の年収で満足したほうがよいのではと感じる方もいるかもしれません。しかし、支払う税金や社会保険料の支払いが多くなったとしても、高年収を目指すべきメリットがあります。 ■生活のために使える金額が増える 年収が高くなると、生活のために使えるお金が増えます。旅行をしたり趣味にお金をかけやすくなったりするので、これまで以上に生活を充実させることができるでしょう。また、金融機関で住宅ローンやマイカーローンを組むときに年収が高いほど多くのお金を借りることができます。 多くのお金を借りられると、低い金利が適用されやすいので、利息の負担を抑えられます。さらに、物件購入額が高い住宅ローンでも審査に通りやすくなる可能性があります。 ■貯金を増やして老後に備えることができる 年収が高ければ、貯金が貯まりやすくなります。さらに、多くのお金を資産運用に回せるので、お金を増やせる可能性があります。老後を迎えると多くの方は年金生活に入りますが、ゆとりのある生活をしやすくなるでしょう。また、現役時に支払う厚生年金保険料は高くなるものの、多く支払っていることで受け取れる年金額も増えます。 年収が高くなると、税金や社会保険料を多く支払わなければならないので苦しいですが、年収が高いほうが、ゆとりのある生活を送りやすくなるでしょう。