老後に「ダマされやすい人」と「ダマされにくい人」の決定的な違い
● 老害にならないためのコツ 人生の重要な場面で騙されないようにするためには わからないことがあると、すぐに誰かに聞いてしまいがちで、何をやるにも基本的に他人任せ――自覚のある人は、まず逆の立場になったことを想像してみてください。 けっこう面倒くさいと思いますよね。 若い人や詳しい人に聞いたり、任せたりするのは構いませんが、そこに至るまでに、最低限自分でやっておいたほうがいいことはないかどうかを、今一度考えてみましょう。 自分でやることを増やしていけば、他人への依存度合いも老害レベルも下がり、自然に壁は取りはらわれていくはずです。 そして何より、他人任せにしっぱなしで、なおかつ他人の言葉を鵜呑みにしていると、詐欺にあうリスクを高めてしまうという認識を持つようにしましょう。 とくに気をつけたいのは、健康にかかわるものを扱う際や、大金を支払う際など、人生における重要な場面で騙されないようにすることです。 すぐに決断するのではなく、ひと呼吸おいて自分で調べることが大切。それで納得できれば、受け入れたり、購入したりするようにしましょう。 でないと、とても体にいいという高額の水(しかし実際はただのミネラルウォーター)を買わされることになってしまいかねません。 自分の健康は自分で守る――その意識があれば、ちょっとの調べものなら面倒に感じなくなると思います。
● 周りの老害に配慮するコツ 「自分で調べるといいことがある」の波状攻撃が有効 なんでもすぐに聞いてくる人が家族や友人にいたら、その姿勢を真っ向から否定せずに、自分で調べることによって得られるメリットを、やさしく伝えてあげてください。 「健康やお金のことを他人任せにしていいの?」 ここから切り崩していくと、次第に「最低限の下調べは自分でする」という行動をとってくれるようになるかもしれません。 そのうえで、詐欺への警戒心を強めてもらえるように働きかけましょう。 「あなたは騙されやすい性格だから気をつけて」と、ストレートに言ってはいけません。「そんなことはない」とばかりに、新たな壁をつくることになりかねないですからね。 そうではなく、ひたすらメリットばかりを強調することが大事です。自分にある程度の知識があれば、身の周りで起こることに対応しやすくなるし、他人に対して「ノー」を言えるようになることを、知ってもらうようにしましょう。 私の経験上、詐欺師に完全に騙されてしまった高齢者に、それ(その人)は間違っていると信じさせることは相当難しいです。 詐欺師はその道のプロですから、騙しやすい“カモ”を洗脳に近い状態にもっていくことは大得意。こちらがどう説明しても、説得しても、なかなか考えを改めてくれません。 以前、目の病気のことを相談しに私のもとを訪れた患者さんが、私の話を信じてくれず、最終的には「この前100万円で買った浄水器の水を飲んだほうがいい」と言い張って聞かない、ということもありました。 ですので、身近に思い当たる人がいる場合は、早めに対策を立てておき、そうなる一歩前に手を打つことが求められます。 完全に騙されて洗脳状態になってしまったら、我々の手には負えません。その手のトラブルに対応してくれる、専門の窓口に相談しましょう。 【参考文献】 1)鎌田昌子ら:高齢者の買い物行動・態度に関する検討(1) 生活科学研究 2012; 34: 15-26 2)消費者庁 平成28年版消費者白書
平松類