「子ども・子育て支援金」負担増で少子化対策にはむしろマイナス!?
日本の勤労所得は平均四百数十万円ですから、会社員は平均年収レベルで3月に政府が示した450円より200円も高く、国民健康保険の方でも同じく100円高くなっています。年収600万円なら2倍前後、800万円なら3倍前後ですから、そりゃあ「話が違う」となります。 それでも岸田首相は「既存の歳出を削減した範囲内で、新たな政策の支出に回せば、国民に新たな負担は生じない」「支援金を導入しても社会保障負担率は上がらない」と言うわけですが、私には何を言っているのかよくわかりません。だって、ほかの予算もカツカツだから支援金制度作るんですよね? また、もし本当に「社会保障負担率は上がらない」とすれば、介護とか年金とか、ほかの社会保障費を削るしかなくて、その分は国民に跳ね返って負担になりますからね。 ■「子育て支援」であり未婚率対策になっていない さらに「そもそも論」に立ち返ると、今回、岸田首相が言う「異次元の少子化対策」ですが、これって「子育て支援策」であって、必ずしも少子化対策になっていません。折しも、それを裏付けるこんなデータが発表されました。 先週、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「世帯数の将来推計」です。それによると、未婚化の影響で2050年には1人暮らしの単身世帯が、半数近い44%を占めるまでになる、としています。 ではなぜ、結婚しない人が増えているのか。大きいのは経済力の問題です。よく「失われた30年」と言われますが、平均年収の推移をみるとそれは明らかで、バブル崩壊当時の1992年の平均年収は455万円だったのに対し、30年後の2022年は457万円。わずか2万円しか増えていません。それどころか、ピークだった1997年の467万円と比べると10万円も減っています。 一方で、92年当時3%だった消費税率は10%に上がり、健康保険や年金など社会保険料の負担率は、会社員の場合、約10%から15%になり、これらを差し引いた手取り額はほぼ下がり続けています。30代独身で年収500万円だと、92年当時は約410万円あった手取りが390万円に、20万円も減りました。