「コーヒーをポエムに変えた」八尾に佇む世界一のカフェ「ザ・ミュンヒ」
日本はおろか、世界中からコーヒー好きが訪れる店が大阪にある。アラブの皇太子もお忍びでやってきたその店の名は「ザ・ミュンヒ」。「ナポリを見て死ね」という言葉があるけれど、この店を訪れずして死ぬことなかれ。伝説のコーヒー専門店へ、いざ――。 【写真】日本は中国以上に「社会主義国」?…日本と中国に起こっている「逆転現象」 噂には聞いていた。大阪府八尾市に、ものすごいコーヒーを飲ませてくれる店があると。器とグラスは国宝級のマイセンやバカラ製。オートバイマニアなら一度は見たいと思う、幻のバイクを2台所有。アラブの皇太子・ムハンマド・ビン・ハマド・ビン・ムハンマド・アルー・シャルキー氏もお忍びでやってきたというその店は、近鉄南大阪線の高安駅から徒歩20分。桜並木が美しい玉串川沿いを歩いて右折した、のどかな住宅街の中にあった・・・・・・。店の面構えからして、完全に想定外やん。
店名は世界に5台、国内に1台しかないスーパーバイク「ミュンヒ」から
現在は究極のコーヒーを味わえるお店というイメージが強いけれど、そもそもはオートバイを見てもらうために店を作った、と店主の田中完枝(かんじ)さんは言う。創業は1981(昭和56)年。 店名にもなっているミュンヒとは、ドイツ製のオートバイ「ミュンヒ1200TTS-E」のこと。世界初4輪用機械式燃料噴射装置(インジェクション)を採用し、世界に5台、国内に1台しかないバイクで、現在の価値にすると7000万円ぐらい。もう1台はオランダ製の「ヴァンヴィーンOCR1000」(1978年製)で、こちらも世界初2ロータリーエンジン搭載のスーバーバイク。38台作られ、世界に10台現存するうちの1台だ。どちらのバイクも国内ではここにしかなく、世界的なビンテージバイクを2台も所有する、バイクマニアにとっては涙がちょちょ切れそうな店だ。 「ヴァンヴィーンは5年前に車検に出して、まだ戻ってけえへんねん。部品がなかなか見つからんらしいわ」 ・・・この店は、外の世界とはどうやら違う時間が流れているようやわ。