メジャーリーグで「ロボット審判」が導入される日は遠い? 「最も早くて2026年」という理由と”弊害”とは
米メジャーリーグ傘下のマイナー3Aで導入されている自動でボールとストライクを判定するシステム(ABS)と、球審が下した判定に機械結果を求めて異議を申し立てられる「チャレンジ制度」について、米メディアで議論が活発化しているようだ。 【動画】自身5度目の大台到達!大谷翔平が4年連続の20号アーチ MLBでは昨シーズンから3Aで両方のオプションをテストしており、週末の試合ではチャレンジシステム、平日はボールとストライクの自動判定を採用しているが、『ESPN』のジェシー・ロジャース記者によれば、「リーグの調査では、自動化されたストライクゾーンや、テクノロジーを使わずに審判が判定を下す現在のMLBのプロセスよりも、1試合あたりに設定されたチャレンジ数を中心としたシステムが強く支持されていることがわかった」という。また、6月25日の試合から、3Aの全試合はチャレンジシステムに移行するとしている。 「MLBがチャレンジシステムを導入する方向へ進んでいる」という同記者は、「各チームが1試合あたりに受けられるチャレンジの数を決定する必要があり、リーグは3Aの試合を参考にしてその数を決定することになる」とも説明した。 では、自動でストライクかボールを判定するいわゆる「ロボット審判」については、将来的にメジャーリーグで採用されるのだろうか。コミッショナーのロブ・マンフレッド氏は、「最も早くて2026年だ」と述べたという。「ロボット審判」が試合にとって正しいステップであると確信するまでは、導入は避けたい模様だ。 懸念点として、各選手のストライクゾーンの上限と下限の設定をまだ克服していないことにある。同氏によれば「1つはボールの軌道を測ること。そこはうまくいっている。2つ目が各打者のストライクゾーンを設定することだが、まだそこまでには至っていない」と話した。 ストライクゾーンの設定に関しては、基本的に2つの選択肢がある。身長ベースのゾーンとスタンスベースのゾーンだ。身長ベースのゾーンは単純で、シーズン前に選手の身長を測定し、それに応じてストライクゾーンを設定。各選手のスタンスの違いは考慮せずに、同じ身長の選手には同じゾーンが適用されることになるというものだ。 もしも各選手のスタンスの違いを考慮した場合、投球がホームベースを通過していくときに選手の膝と腰をカメラで読み取らせる。そして、打者に投じられた直近50球の中央値に基づいて上限と下限が設定されるため、打者はカウントや試合の状況に応じてスタンスを変えてこのシステムを回避することはできないという。 同記事では「身長に基づくアプローチよりも、現在の人間の審判によるゾーンとは大きく異なるため、選手はより劇的な方法で調整を強いられることになる」と、懸念を示している。 さらに「ゾーンを設定するためにカメラが選手のベルトを捉えようとしたとき、ジャージがお腹に掛かっている選手のベルトを見つけるのに苦労する」という弊害もあるという。 これらのことから、「ロボット審判」が導入されて定着するまでクリアすべき課題が多くありそうだ。実際に導入して正確なジャッジが生まれたとしても、例えば大谷翔平と審判がやり取りした様子など、人間味あふれるようなシーンは球場から消えてなくなるかもしれない。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]