「京都」知る人ぞ知る「アジサイの名刹」 5000株の極彩色絶景が美しい“国民的低山”ハイキング「現地レポ」
■約1200年もの歴史を持つ柳谷観音楊谷寺
西山天王山駅から1時間半ほどで楊谷寺に到着だ。豊かな自然を背景に、大きな山門が堂々と佇んでいる。 楊谷寺は、平安時代の806年に清水寺を開山した延鎮僧都(えんちんそうず)によって開創された。古くから眼病平癒の祈願所として天皇家をはじめ多くの人々の拠り所となり、1200年以上経った現在でも信仰を集めている。 広々とした境内には本堂をはじめ、奥之院や書院、稲荷大明神などが鎮座しており、歴史ある建造物と風情ある庭園をたっぷりと見て回ることができる。 また、四季折々の花手水(はなちょうず)も見所だ。花手水とは、お参りをする前に手や口を清める「手水」に花を浮かべたもの。「歴史と四季を感じられる聖地に」「五感を通じて心に平安」という思いから、数年前から始められたそうだ。 境内に数か所あるので、どんな花が浮かべてあるのかぜひ探して楽しんでみよう。
■美しいアジサイを堪能
一番の見所は、やはりハイキングの目的でもあるアジサイである。境内には約27種5,000株ものアジサイが咲き誇り、7月上旬頃まで色とりどりの共演を楽しむことができる。 筆者が訪れたとき、紫陽花はまだまだ咲き始めだったが、あじさい回廊やアジサイを用いたアートなど参拝者を楽しませる工夫がたくさんされており、梅雨の季節ならではの風景を心ゆくまで堪能することができた。
■天王山山頂を目指してハイキング
楊谷寺を満喫した後は、天王山山頂を目指す。最初の広い府道と違って、木漏れ日が心地よい山道である。 15分ほど歩くと乗願寺(じょうがんじ)という寺があり、かわいらしい猫たちが出迎えてくれた。 乗願寺の創建や変遷については詳細は不明だが、始まりは平安時代とされており、江戸時代の1791年に現在の本堂が建立されたそうだ。 境内でくつろぐ猫たちの姿がなんとも微笑ましい。こんなちょっとした出会いもハイキングの癒しの一つだ。 天王山山頂へのハイキングコースは、乗願寺の近くの田園にある。田園を抜けると本格的な山道に入るが、急勾配が少なく緩やかな道なので初心者でも登りやすく安心である。