フランス、レバノン政府に調停案示す~ロイター通信
イスラエルとレバノンのシーア派組織「ヒズボラ」の戦闘が激化する中、フランスがレバノン政府に対し、調停案を示したとロイター通信が報じました。 イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃と並行して、イスラエルとレバノンの国境地帯では、イランが支援するレバノンのシーア派組織「ヒズボラ」とイスラエルとの間で、双方への攻撃が続いています。 去年10月以降、レバノンでは、イスラエル軍の空爆によって200人近くが死亡し、うち170人がヒズボラの戦闘員だったということです。一方、イスラエルではレバノンからの攻撃により、兵士10人と民間人5人が死亡しています。 大規模な衝突への懸念が高まる中、複数の政府高官によりますと、フランスのセジュルヌ外相が先週、レバノンのミカティ首相ら政府高官に対し、紛争を解決するための提案を文書で渡したということです。 フランスはレバノンの旧宗主国で、レバノン国内には国連平和維持活動の一環としてフランスの軍隊も駐在しています。 セジュルヌ外相は12日の会見で、「我々は提案を行った。あらゆる取り組みを結集して、平和を構築することが重要だ」と述べていて、あるフランス外交筋は、この提案がイスラエル政府やヒズボラにも共有されたと話しています。 ロイター通信が確認した文書によりますと、提案は3段階のプロセスに分かれていて、第1段階ではイスラエル・レバノン双方が軍事作戦を停止します。 第2段階では3日以内に、ヒズボラが戦闘部隊を国境から少なくとも10キロ北に撤退させ、レバノンが兵士を国境近くに展開します。また、イスラエルはレバノン上空での飛行を中止します。 第3段階では10日以内に、レバノンとイスラエルがUNIFIL(=国連レバノン暫定軍)の支援を受け、「段階的に」国境画定の交渉を再開する、としています。 ただ、ヒズボラ幹部のハッサン・ファドララ氏はロイター通信の取材に対し、「ガザ地区への侵略が終結するまで、イスラエルに関する、いかなる問題についても議論しない」と答えています。ファドララ氏は、ヒズボラがフランスの提案文書を受け取ったかなどについてはコメントを拒否しました。 また、レバノン当局者によりますと、レバノンは文書の一部の内容に異議を唱え、これに対しフランス当局者が“これは最終文書ではない”と述べたということです。 一方、あるイスラエル当局者は、提案文書を受け取ったことを認め、政府によって検討されていると述べています。