“白夜の太陽”を輝かせたウノエックスモビリティ マグナス・コルトはガールフレンドに捧ぐ個人総合優勝【Cycle*2024 アークティックレース・オブ・ノルウェー:レビュー】
「僕にとってもここでの4日間はホームレースだった。この勝利を彼女に捧げるよ」(コルト) クリストフやコルトが述べるように、現状のベストメンバーで今大会を戦ったウノエックスモビリティ。みずからも総合成績を狙える力を持つアンドレアス・レックネスンや、ツールでたびたび逃げたヨナス・アブラハムセンはもとより、レース全体の統率役という重責を担ったラスムス・ティレルはMVP級の働き。マルクス・フールゴーのノルウェーチャンピオンジャージも集団前方で映えた。
「ラスムス(ティレル)は長時間の牽引を見せたけど、彼にとってそれはとても珍しいことなんだ。なぜならスプリントやパワーが必要なコースを得意とする選手だからね。でも、今回のような役割を与えてもしっかり仕事ができる。それくらい彼は強いんだ。すごく印象的な走りをしてくれたよ」(クリストフ)
ウノエックスモビリティの強さが際立った今大会だけど、その状況を打ち破ろうとトライした選手たちの走りも見過ごすわけにはいかない。25歳以下の選手が多く出場し、20歳代後半の中堅クラスまで視野を広げても、今後の走りが期待できるライダーばかり。観る側もチェックすべき逸材を見出す絶好の機会だった。
第3ステージを勝ったボヌーは一時コルトに総合タイム差1秒まで迫ったし、第4ステージでコルトを追い込んだクレモン・シャンプッサン(アルケア・B&Bホテルズ)は個人総合でも2位と上々の走り。グレゴーは最後に力尽きたけど、あわや大逆転かという走りはインパクト大。当然ながら、大会最終日の敢闘賞が贈られている。
そして、アークティックレース・オブ・ノルウェーの目玉である山岳賞は、第1ステージから逃げ続けたイェーレ・ヨハニンク(TDT・ユニベット)が獲得。「ピーコックジャージ」に袖を通して今大会の“孔雀王”(筆者が勝手に命名)となり、ノルウェーサーモン500kgを副賞として受け取っている。 「北極圏から、世界のトップへ」をテーマに開催された4日間は、大盛況のうちに閉幕。ロードレースシーンは引き続き、シーズン後半戦を走り続ける。
文:福光 俊介
福光 俊介
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