“白夜の太陽”を輝かせたウノエックスモビリティ マグナス・コルトはガールフレンドに捧ぐ個人総合優勝【Cycle*2024 アークティックレース・オブ・ノルウェー:レビュー】
大会後半に入ると、クリストフからコルトにバトンが渡る。1級山岳ヤコブスバッケンの頂上にフィニッシュした第3ステージはカミル・ボヌー(フランダースバロワーズ)の逃げ切りを許し、自身の詰めの甘さを嘆きながらもリーダージャージはゲット。最後の1日に大会制覇を賭けた。
最も難儀したのが最終の第4ステージだった。6人の逃げが終盤までリードを続け、フィニッシュまで10kmを切っても1分以上先行していた。それでも、百戦錬磨のコルトである。焦ることなく、最終局面に向けて集中し続けていた。
「状況次第では中間スプリントでボーナスタイムを狙う必要があると思っていたけど、逃げのメンバーがすべて押さえていたから、レース中は最後の2kmだけにフォーカスできた。チームメートが素晴らしい働きをしてくれていたから、リーダージャージは守り切れると確信していたよ。それだけでなく、ステージ優勝もしたかったんだ。前を走る選手とのタイム差が縮まっていくにつれて、少しずつ緊張感が増していったね」(コルト)
平均勾配9.2%の2級山岳頂上が今大会のフィナーレ。主催者発表による登坂距離は1.1kmとされていたが、実際は最後の2kmが上り基調。逃げ切れば個人総合で逆転の可能性もあったヨナス・グレゴー(ロット・デスティニー)を上りで一気に追い込むと、フィニッシュ前200mで敢然とアタック。ミッドナイト・サン・ジャージみずからステージを制し、個人総合優勝を確定。白夜の太陽が、高らかに光を放ったのだった。
「6人のメンバーでこれだけの成果を挙げられるなんて、本当に信じられないよ。僕たちはどうしてもこのレースを勝ちたかったんだ。チームの地元でこれだけの結果を残せたのが誇らしいよ」(コルト) コルト自身も、このレースに並々ならぬ意欲を持って臨んでいた。今大会の基点となった街・ボーデはガールフレンドの故郷なのだという。2週間後にはこの街に戻って、病院での勤務を始めるのだとか。デンマーク人であるコルトだけど、ボーデはこれから縁深い土地になる。
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