新型スイフトは「Z世代に刺さるデザイン」がテーマ!詳細をデザイナー陣が解説。
2023年12月13日に発売された(5速MT車は2024年1月17日発売予定)スズキのBセグメントハッチバック「スイフト」。その内外装は従来のスポーティな路線を堅持しつつ、よりモダンかつ軽快感のあるものへと進化している。そのデザイナー陣が語る開発秘話とは…? 【写真を見る】新型スイフトのデザイン詳細解説。※本文中に画像が表示されない場合はこちらをクリック REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●中野幸次(NAKANO Koji)/スズキ
5ナンバーサイズをキープ。モビリティショーで手応えを感じた。
遠藤 10月に開催された「ジャパンモビリティショー2023(以下、JMS)」には「スイフトコンセプト」を出品されましたが、来場者からの反応はいかがでしたか? 邉田さん 私は説明員として立ち会っていたのですが、手前味噌ながらすごく良かったですね。現有車からの代替を検討したいというお客様もいらっしゃいましたし、「5ナンバーサイズをキープしながら現行モデルより大きく見える」という声もいただきました。 クールイエローメタリックのモノトーンと、フロンティアブルーパールメタリック×ブラック2トーンルーフの2台を展示しましたが、後者は「スイフトスポーツですか?」とご質問いただくこともありました。 遠藤 特にブルー2トーンの方が「スポーツ」らしく見えたと。 邉田さん はい。こちらは台上げもされていたので。 高橋さん 「スポーツ」に対する期待の声は大きかったですね。 遠藤 そうなりますよね(笑)。内装に関してはいかがでしたか? 邉田さん 内装も評判が良かったですね。イエローの方は車内に入れる平置きの状態だったので、「質感が上がっていますね」という評価をいただけました。
エクステリアはフローティングルーフで軽やかさを表現
遠藤 なるほど。まずはエクステリアの開発からお伺いしますが、スイフトは3世代前からずっと成功し続けているクルマで、その分難しいと推察しますが、新型ではどういうフフにデザインしようとお考えになりましたか? 琴田さん 新型の商品コンセプトが「エネルギッシュ×軽やか」で、「エネルギッシュ」は歴代スイフトが培ってきたものですが、「軽やか」をどう表現するかをいろいろ考えました。 先代はエネルギッシュな方が強く出た、筋肉質な形でしたが、今回は多面体をモチーフにして、面質としてはスッキリしていて、抑揚が少ない、筋肉質ではないもので、素直に多面体をつないでロー&ワイドなスタンスにしています。 そして今回、キャビンが完全に抜けた形になっているんですね。フローティングルーフをかなり明快にして、軽やかさを表現しました。 遠藤 写真で見ても実車を見ても、先代より押し出し感を弱めて、小さく見せる方向でデザインされた印象を受けましたが、むしろ逆でしょうか……? 琴田さん 実寸法は先代とほとんど変わりませんが、凝縮感という意味では小さく見えると思います。特にフロントまわりは凝縮した雰囲気がありますので。狙いとしては、このフードの回り込みと、フェンダーの外側に張り出した部分とにギャップを作ることで、対比的に大きく見えるようにしています。JMSでの評判を見ますと、「5ナンバーサイズに見えない」という声もありましたので、その辺りは狙いが伝わっていると感じました。 遠藤 先代の海外仕様は全幅1700mmを超えていましたが、日本仕様は5ナンバーサイズを維持していました。新型では市場ごとの作り分けを行う予定ですか? 琴田さん 現時点ではお答えできませんが、先代はそのようになっています(笑)。 遠藤 なるほど(笑)。仮に拡大されるとしたら、このフェンダーまわりはシルエットが結構変わりそうな気がしますが……。 琴田さん 5ナンバーでも幅広感が遜色ないようにはしています。 遠藤 前後LEDランプの光り方も綺麗ですね。このポジションランプで、幅広感を演出しているのでしょうか? 琴田さん 造形のアウトラインを強調していますね。 遠藤 この光らせ方も今風というか、Z世代を意識したものなのでしょうか? 琴田さん グラフィックを考える時は、デジタルというキーワードが出てきますね。従来は曲線で緩やかに変化させていましたが、新型ではカクカクさせて、デジタルっぽい表現にしています。 遠藤 こうしてカクカクさせると、この導光チューブを綺麗に光らせるのが……。 琴田さん 大変でしたが、お金をかけずに頑張りました(苦笑)。