貨物「全農号」運行開始 米専用列車、10tトラック50台分
JA全農と全農物流、JR貨物は11月から、車両を丸ごと貸し切って米などを長距離輸送する貨物列車「全農号」の定期運行を始めた。1回の運行で10トントラック50台分を輸送でき、本年度中は月2回、来年度は月最大4回運行する予定。トラックドライバー不足が懸念される「物流2024年問題」で課題となる鉄道輸送への転換を進める。 全農などは2月から3回の輸送試験を行い、常温での長期輸送や夏場の高温下でも品質に影響がないことを確認。今回の定期運行に乗り出した。 「全農号」は青森県を始点に秋田県、新潟県、石川県などの駅で米などを積み込み、消費地の大阪府に届ける。日曜日の夜に青森を出て、月曜日の夕方に大阪に着く。月4回運行の場合、全農が販売先まで運ぶ玄米の2%に当たる年間2万4000トンが鉄道に転換できる。 定期運行の初列車は5日午後6時7分、青森県の八戸貨物駅を出発。6日午後5時22分、玄米500トンを載せ大阪府の百済貨物ターミナル駅に到着した。今後は精米や大豆も運ぶ。 大阪で別の貨物列車に載せ替え、東海や九州などの販売先に運ぶ。輸送期間は産地から販売先まで約1週間。全農米穀部主食課の上田大介課長は「24年問題の混乱の中でも農家が作った米を消費者に届ける責任がある。安心して出荷してもらえるよう輸送を確立していく」と話す。
日本農業新聞