長引く疲労感、これって病気なの?
疲労が日常の一部になってしまっている場合に、原因を特定するのは意外と難しい。一時的に疲れているだけなのか、なんらかの医学的なトラブルが隠れているのか。フランスの精神科医と睡眠専門医が判断のポイントをアドバイス。 不眠、ストレス、やる気が出ない......日常的に疲労を感じる場合、原因は必ずしも明らかではない。 疲れた状態といえば普通、前の晩あまり眠れなかったためにあくびが出たり、忙しくて大変だった1日を終えて、ソファで伸びている状態を思い浮かべるだろう。2022年11月にフランス社会党系シンクタンクのジャン=ジョレス財団の依頼で、世論調査会社Ifopが実施した調査によると、フランス人の40%がコロナ禍の前よりも疲れを感じやすくなったそうだ。それにしても単なる一時的な疲労と、なんらかの異常が隠れている病的な疲労をどう見分ければいいのだろうか。どんな身体的・心理的症状に気をつければいいのか、ふたりの医師に対処法を含めて聞いてみた。
身体反応としての疲労を理解する
睡眠専門医のフィリップ・ボーリューによれば、最も一般的な疲労感であり、人口のほぼ4分の1が定期的に訴えるものは、身体反応としての疲労だ。それはスポーツをしたり、勉強したり、ストレスの溜まる出来事があったなど、いつもと違う出来事が暮らしの中で起きた時に身体が「反応」して起きる。 この生理現象をより深く理解するために、脳内をのぞいてみよう。「長時間の、あるいは激しい活動後、認知機能が過剰に緊張すると、グルタミン酸という、興奮を司る神経伝達物質が大量に分泌される。これが飽和状態に達すると、疲労状態が生じる」と、精神科医で、『Sortir des ruminations mentales (原題訳:精神的反すうからの脱却)』(Marabout刊)の著者でもあるマリーヌ・コロンベルは説明してくれた。このような状態になった場合、やるべきことは2つある。疲労の原因となっている活動を中止すること、そして寝に行くことだ。「グルタミン酸は身体が回復すると排出される。もし翌日になっても同じように疲れていたり、ひどくなっていたら、これは無視できない最初のサインだ」と精神科医のマリーヌ・コロンベルは指摘した。