「ヒカリゴケ」日本初の発見場所に粗大ごみ散乱…洞窟内の自生地を守りたいと立ち上がった人々の思い
佐久市岩村田上(うえ)ノ城(じょう)区の 国天然記念物「岩村田ヒカリゴケ産地」を次世代に残そうと、地域のボランティア団体「上ノ城環境ボランティアクラブ」が中心となって周辺の環境整備を続けている。一帯は日本で初めてヒカリゴケが確認された場所で、現在も洞窟内に自生。「産地を守り、こんなにすごい場所があると地域や県内外の人に知ってもらいたい」との思いで、メンバーは活動に励んでいる。 【写真】洞窟内に自生するヒカリゴケ
市教育委員会によると、1910(明治43)年に通学途中の旧制野沢中学校(現・野沢北高校)生徒が洞窟内で光る土を発見。教師に見せ、東京帝国大(現・東京大)の植物学者、三好学博士に鑑定を依頼してヒカリゴケだと判明し、1921年に天然記念物に指定された。ヒカリゴケは自らは発光せず、日光などで照らされると細胞が光を反射し、黄緑色に光って見える。
クラブは、地域の環境整備に取り組もうと2017年に発足した。現在のメンバーは25人。4年ほど前、洞窟の周囲の空き地に古い冷蔵庫や自転車などが散乱していたことから、「この状況をどうにかしたい」と産地周辺の整備も始めた。当時、空き地から2トントラック5台分のごみを回収したという。
21年には同クラブを中心に「岩村田ヒカリゴケ管理委員会」を発足。市の委託を受け、ヒカリゴケを観測している市教委と協力しながら、より多くの人が訪れやすい環境の整備に力を入れ始めた。洞窟入り口の柵のペンキを塗り直し、周囲にはプランターなどを設置。空き地には桜を植樹し、近くにある岩村田小学校との間には小道や橋を設けた。
現在は古くなったヒカリゴケ産地の看板を新しくしようと活動を進める。「地域の子どもたちにも協力してもらいながら、今後も活動を続けたい」とクラブ会長の秋山元治さん(75)。ヒカリゴケ産地に関わる人を増やし、さらなる知名度向上につなげたいと考えている。