世耕議員の不起訴はおかしい 「反省していると思えない。逃げ得を許すな」と上脇教授が検察審に審議申し立て
世耕弘成参議院議員(和歌山選挙区)が代表を務める政治団体「紀成会」が、安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティの収入から、2018年以降に1542万円のキックバックを裏金として受けていた問題などで、世耕議員ら3人が東京地検に刑事告発されたものの不起訴とされた件で、告発人の上脇博之神戸学院大学教授がこれを不服として5月15日に検察審査会に審査を申し立てた。(フリージャーナリスト・鈴木祐太) 【写真報告】これが政治資金報告書と「文通費」領収書だ。橋下徹、維新清水参議員などの実物公開(7点)
◆世耕議員の不起訴は不当である
東京地検は、世耕参院議員がキックバックを受けていた「政治資金規正法違反」事案と、選挙区内に住む有権者に高額の贈答品を送っていた「」問題に公職選挙法違反」事案について、5月2日に世耕議員ら3人を不起訴処分にした。今回の上脇教授の検察審査会への申し立ては、これを不服として行ったもの。 まずキックバック問題について、東京地検が不起訴にした理由は、会計責任者が「起訴猶予」、世耕議員らは「嫌疑不十分」であった。もう一つの、選挙区内の有権者への高額の贈答品についても、世耕議員は「嫌疑不十分」とされた。この点について、上脇教授は審査の申立書で、いずれも「嫌疑なし」ではなかったことを強調、「不起訴処分は不当だ」と強調した。
◆高級菓子もらった有権者が書いたブログ閉鎖…証拠隠滅か?
上脇教授が提出した申立書によると、「紀成会」は、18年に102万円、19年に604万円、20年に360万円、21年476万円の合計1542万円のキックバックを受けていた。また、世耕議員は、「お客様登録」が必要で、予約してから何か月も購入できない高級クッキー缶を選挙区内である和歌山県に住む会社代表に送っていた。 高級クッキー缶を受け取った会社代表は、それをブログで明らかにしていたが、このブログは、上脇教授が刑事告発した後に閉鎖された。これについて、証拠隠滅ではないかと今回の申立書で指摘している。 申し立てをした上脇教授は次のように説明する。 「キックバックを受けた寄附金収入の不記載等につき、東京地検特捜部は会計責任者を“起訴猶予”にしました。“起訴猶予”とは罪を犯した証拠があるのに、あえて起訴しないことを意味していますので、検察審査会が“起訴相当”と議決することが期待されます。 世耕議員は“嫌疑なし”ではなく、“嫌疑不十分”でした。会計責任者が世耕議員の指示または了承なしに独断で不記載にするはずがありません」
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