「最も炎上した映画は?」世界から批判殺到の過激作(5)あの国もこの国も大激怒!上映禁止続出も…空前の大ヒット作
映画は万人が楽しめる娯楽の王様である。一方、影響力が強すぎるため、世間の規範から外れた作品に対しては、上映中止を求める抗議運動が吹き荒れたりする。今回は、タブーを踏み越えてしまったがために、世界各国で上映が禁止された問題作を紹介。露骨な性描写で物議を醸した作品から宗教上の理由でバッシングを受けた映画まで幅広くセレクト。今回は第5回。(文・寺島武志)
『ダ・ヴィンチ・コード』(2006)
原題:The Da Vinci Code 製作国:アメリカ 監督:ロン・ハワード 脚本:アキバ・ゴールズマン 原作:ダン・ブラウン キャスト:トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン、アルフレッド・モリーナ、ユルゲン・プロホノフ、ポール・ベタニー、ジャン・レノ 【作品内容】 ダン・ブラウンが2003年に発表し、大ベストセラーとなった推理小説を、2001年の『ビューティフル・マインド』(2001)でアカデミー賞監督賞・作品賞を受賞したロン・ハワードがメガホンを取り、映画化されたサスペンスミステリー作だ。 レオナルド・ダ・ヴィンチの名画に隠された暗号を巡り、ある組織の陰謀に巻き込まれたハーバード大宗教象徴学教授のロバート・ラングドン(トム・ハンクス)が謎を解き明かしていく様を描いている。 【注目ポイント】 日本国内でも大ヒットを飛ばした人気作だが、問題とされたのは、「イエス・キリストが人間と同じように恋をして、結婚し、子孫がいる」という秘密を守るために教会が暗躍していたという設定だ。これがキリスト教を信仰している数々の国から批判を呼ぶことになり大論争を引き起こした。 その結果、本作は、キリストに対する冒涜であるとして、中国・エジプト・ヨルダン・フィリピンなど、多くの国で上映が禁止されてしまう。また、サモアでは、若者のキリスト教の信仰に悪影響を与えるという理由から上映禁止とした。また、インドや中国、エジプトなど、決してキリスト教国とはいえない国や、イスラム圏のパキスタンでも上映禁止となった。 プレミア上映が行われたカンヌ映画祭の会場前では、英国から来たシスターが「この映画は神を冒涜している」と座り込みで抗議する事態にも発展。また、シンガポールでは16歳以下の鑑賞が禁止され、中国や韓国では教会が映画のボイコットを呼びかけた。 また、インドでは、ムンバイのカトリック系団体メンバーがハンガーストライキを決行。モスクワではロシア正教会の信者らが映画館を取り囲み抗議するなど、本作の上映中止を望む抗議活動は世界中に波及した。 しかし、大騒動をよそに、本作は日本を含む全世界で大ヒット。シリーズ化が決定し、ゲーム化もされ、2009年に第2作『天使と悪魔』、2016年に第3作『インフェルノ』が公開された。
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